葛 (くず)

わが屋戸の 田葛葉(くずは)日にけに 色づきぬ 来まさぬ君は 何情(なにこころ)そも 万葉集 巻10−2295 わが家の庭先の葛の葉が日益しに色づいてきましのに、お見えにならないあなたは、どんなおつもりなのでしょう。 この夏の暑さにはホトホト参りま…

燈火 (ともしび)

燈(ともしび)の 影にかがよふ うつせみの 妹が笑まひし 面影に見ゆ 万葉集 巻11−2642 燈火の影にちらちらするあの娘のほほえみが、今、面影に浮かんで見えます。 旧い写真を整理していたら、こんな写真が出てきました。 東大寺二月堂に灯された蝋燭…

J:COM MOBILE

一年ほど前から 『スマホを使ってみたい』 とツレが事ある毎に申します。 めっぽう機械に弱く、デジタルは更に苦手なお方がご冗談を。 と私は取り合わなかったのですが、この夏、ふっと気が変わりました。 「この時代まで生き長らえたからには、冥途の土産に…

うつせみ

うつせみの 常の言葉と 思へども 継ぎてし聞けば 心はまとふ 万葉集 巻12ー2961 世間でよく聞く言葉だとは思っても、続けて何度も聞かされると心は戸惑うのです。 ニイニイゼミの抜け殻 ウチの庭で見つけた蝉の抜け殻二つ、お隣さんの枇杷の木について…

夜空に花が咲きました

ゆうべ、のんびり食後のお茶を飲んでいると、どーんどーんと花火の揚がる音が聞こえてきました。 あれ? 今日は横須賀の花火大会だったの? 二階の窓から山の向こうを眺めますと、あがってるあがってる、大きな花火。 ではカメラを持ってきて、今年も遠花火…

磯に見し花

島廻(しまみ)すと 磯に見し花 風吹きて 波は寄るとも 取らずは止まじ 万葉集 巻7ー1117 島廻りをしようとして磯で見た花を、風が吹き波が寄せて来ても取らずには置きません。 * 女性を花にたとえているのだとか・・・ 土曜日の午後、息子の車で観音…

浮き草 (古名 うきまなご)

解衣(とききぬ)の 恋ひ乱れつつ 浮沙(うきまなご) 生きてもわれは あり渡るかも 万葉集 巻11−2504 解いた衣の乱れるように恋心に乱れ、私は(浮き草のように)はかなく生きながらえています。 * 浮沙(うきまなご)とは、水に浮くような細かい砂のこと…

ウィンドウズ10 意図せぬ更新

5月20日、メールのチェックをしていたら、突然 「w10の更新を構成しています」 という画面に変わりました。 え? w10に変えるつもりはないのに何でこんなことになるの? 頼んでないけど。 プチンと電源を切りました。( 今思えばこれが運の尽きだっ…

白い花 道端編

ウノハナ 咲き始め 卯の花の 咲き散る岳(おか)ゆ 霍公鳥 鳴きてさ渡る 君は聞きつや 萬葉集 巻10−1976 卯の花の咲き散る岡をホトトギスが鳴いて行きます。あなたはお聞きになりましたか。 ウノハナの実 ホトトギスの声を未だ聞いていないのに、近隣…

白い花

暇(いとま)無み 五月をすらに 吾妹子が 花橘を 見ずか過ぎなむ 萬葉集 巻8−1504 高安王 暇がないので、五月なのに、あの娘の家の花橘を見ずに過ごしてしまうのでしょうか。(見に行きたい) 今日の歌は花橘の一首を選びましたが、上の二枚の写真、実…

楮(コウゾ)  万葉名 たく

丹比真人笠麿、紀伊国に往きて勢の山を越ゆる時作る歌一首 𣑥領巾(たくひれ)の 懸(か)けまく欲しき 妹が名を この勢の山に 懸けばいかにあらむ 萬葉集 巻3−285 丹比真人笠麿 (たじひのまひとかさまろ) 𣑥の領巾(ヒレ)を懸けるように口に懸けたい…

山吹

山吹の 花の盛りに かくの如 君を見まくは 千年にもがも 萬葉集 巻20−4304 大伴家持 山吹の花の盛りに、このように貴方にお目にかかることが千年も続きますように。 * 左大臣橘卿(橘諸兄)の宴の折りに、家持さんが詠んだ歌だそうです。 移り気な4月…

段蔓と桜

この花の 一枝(ひとよ)のうちは 百種(ももくさ)の 言(こと)持ちかねて 折らえけらずや 萬葉集 巻8−1457 娘子(おとめ) この花の一枝のうちに、あまりにも多くの言葉が込められているので支えきれなくて、このように折れてしまったではありません…

箱根の山

あしひきの 山に白きは わが屋戸に 昨日の夕 降りし雪かも 萬葉集 巻10−2324 鉛色の冷たい雨が降る日に、厚い冬のコートを着込んで箱根に行きました。 標高の高い所では雪になり、何台かの車が立ち往生して通行止めになったとかで、路線バス箱根町行き…

唐棣花 (はねず)

唐棣花(はねず)色の 移ろひやすき 情(こころ)なれば 年をそ来経(ふ)る 言は絶えずて 萬葉集 巻12ー3074 (あなたは)ハネズ色のように変わりやすい心を持っておいでなので、お見えにならぬまま年を経てしまいました。 言づてだけは絶えないけれ…

買い物の道すがら

上のお雛さまは、小さな小さな繭人形です。 昔々、ウン10年も昔、京都嵯峨野の「まゆ村」で散策記念に買い求めました。 真っ白だったお顔も歳月を経て黄ばんでしまいましたが、毎年飾っています。 昨日は風もなく晴れやかな日でしたので、小さなコンデジ片手…

わが家の梅

わが屋戸の 梅咲きたりと 告げやらば 来(こ)ちふに似たり 散りぬともよし 萬葉集 巻6−1011 私の家の梅が咲いていますと報せてやったら、おいでなさいと云うのと同じようなものです。 おいで下さるなら花は散ってしまってもいいのです。 * * * わが…

メジロ

椿の花にメジロが遊びに来ていましたので、家の中からでも観察し易いようにと 梅の小枝に蜜柑を刺して こちらへおいで と誘ったら、直ぐ食べに飛んできました。 昨日と今日、その様子を写してみました。 いつも二羽一緒なのに、交替しながら蜜柑を啄んでいま…

たらこスパゲティ

冷凍庫に鱈子が少し残っていたので、たらこスパゲティを作った。 食卓に着いて「いただきます」は好いけれど、無頓着に黙々とフォークを口に運ぶツレの様子を見て、ふと問いかけてみた。 「あなたは今、何を食べているのでしょうか?」 ツレは、鳩が豆鉄砲を…

回転寿司

買い物のついでにヴェルニー公園まで散歩に出かけた日のことです。 公園入り口手前の歩道橋から見渡すと回転寿司の店が目に入り、三時のおやつ代わりに少しつまんで行こう! ツレと意見が一致しました。 普段あまり回転寿司とはご縁が無いのでオズオズと入店…

椿

奥山の 八峰(やつを)の椿 つばらかに 今日は暮らさね 大夫(ますらを)のとも 萬葉集 巻19−4152 大伴家持 今日一日、つばらかに(心ゆくまで)楽しくお過ごしください、ますらをたちよ。 *大伴家持の館での宴の席で詠んだ歌です。 14日は好いお天…

初詣

5日、暖かな日が続く今のうちに初詣して来ようと思い立って、午後から鎌倉の八幡さまに出かけました。 鎌倉駅前の、小町通りに入る鳥居の向こうは初詣客で混雑しているようでしたので、若宮大路に出て参拝の人波が少なくなる夕刻近くまで、中央公民館の史跡…

迎春

あけましておめでとうございます 2016年 元旦 近所の公園から写した今日の富士山です。

かへるで

我が屋戸に 黄変(もみ)つ蝦手(かへるで) 見るごとに 妹を懸けつつ 恋ひぬ日は無し 萬葉集 巻8ー1623 田村大嬢(たむらのおほいらつめ) わが家の紅葉した楓を見る度に、貴女の事を気にかけて恋しく思わない日はないのです。 *大伴田村大嬢が、妹の…

み空行く 雲も使と 人はいへど 家づと遣らむ たづき知らずも 萬葉集 巻20−4410 大伴家持 空を行く雲も使いだと人は言うけれど、家に土産を送ってやる方法も分かりません。 *故郷の家族と別れて任地に赴く防人の心を思いやって、大伴家持が詠みました…

さね葛 

さね葛 のちも逢ふやと 夢(いめ)のみに 祈誓(うけ)ひわたりて 年は経につつ 萬葉集 巻11−2479 いつかまた逢えるかしら、と夢で祈り続けるばかりで年月がたってしまいました。 * さね(さな)蔓は「逢ふ」にかかる枕詞。 蔓が分かれてまた合う、長…

蜘蛛の糸

庭に女郎蜘蛛が大きな巣を二か所張りました。 中々の力作ではありますが庭仕事するのに邪魔なので、すでに巣の主が退去した方を取り払おうとして見ると ちょうど午後の陽が当たって輝きがあり美しいので写真を撮りました。 それをパソコンに取り込んで良く見…

防人 (さきもり)

今替(かは)る 新防人(にひさきもり)が 船出する 海原(うなはら)のうへに 波な開(さ)きそね 万葉集 巻20−4335 大伴家持 今から交替して新しい防人が船出をする海原の上に荒波を立てないでやってください。 護衛艦 「いずも」 ヴェルニー公園の秋…

からあゐ (けいとう)

恋ふる日の け長くあれば わが園の 韓藍(からあゐ)の花の 色に出でにけり 万葉集 巻10ー2278 恋しく思う日々が続くので、私の庭の韓藍の花のように、はっきりと顔色に出てしまいました。 ケイトウ(鶏頭) 韓藍 鶏冠草 ヒユ科の一年草 熱帯アジア原…

むぐら (カナムグラ)

いかならむ 時にか妹を 葎生(むぐらふ)の きたなき屋戸に 入りいませなむ 万葉集 巻4−759 大伴田村大嬢(おほとものたむらのおほいらつめ) いつになったらあなたと会えるのでしょう。カナムグラが生い茂ったむさくるしい家ですが、早くお招きしたいも…