2006-01-01から1年間の記事一覧

臣の木・おみのき (樅・もみ)

撮影場所 春日大社 万葉植物園 山部宿祢赤人(やまべのすくねあかひと)、伊予の温泉(ゆ)に至りて作る歌 皇神祖(すめろぎ)の 神の命(みこと)の 敷きいます 国のことごと 湯はしも 多(さは)にあれども 島山の 宜(よろ)しき国と こごしかも 伊豫(い…

ひかげ (ヒカゲノカズラ)

撮影場所 小石川植物園 あしひきの 山下日蔭(ひかげ) 蘰(かづら)ける 上にやさらに 梅を賞(しの)はむ 大伴家持 万葉集 巻19−4278 大意1:山の下蔭(したかげ)にヒカゲを蘰(かずら)として遊んでいる上に、ど うして梅の花をかざしましょう(…

百代草・ももよぐさ (ノジギク)

撮影場所 春日大社 万葉植物園 父母が 殿の後方(しりへ)の 百代草(ももよぐさ) 百代(ももよ)いでませ わが来(きた)るまで 生玉部足国(いくたまべのたりくに) 万葉集 巻20−4326 お父さんもお母さんも百代まで生きていてください。 私が戻って…

 宜寸川 (吉城川・よしきがわ)

撮影場所 奈良市登大路町 吾妹子(わぎもこ)に 衣(ころも)春日(かすが)の 宜寸(よしき)川 縁(よし)もあらぬか 妹(いも)が目を見む 万葉集 巻12−3011 何か方法はないものか。妹の姿をを見たいものだ。

むろのき (ネズ・ネズミサシ)

撮影場所 春日大社万葉植物園 吾妹子(わぎもこ)が 見し鞆の浦(とものうら)の むろの木は 常世(とこよ)にあれど 見し人そなき 大伴旅人 万葉集 巻3−446 私の妻が(かつて)見た鞆の浦のむろの木は、今も変らずにあるけれど、これを見た妻はもういな…

梨・なし (ヤマナシ)

撮影場所 春日大社 万葉植物園 露霜(つゆしも)の 寒き夕(ゆふべ)の 秋風に もみちにけりも 妻梨(つまなし)の木は 万葉集 巻10−2189 露霜を置いた寒い夕方の秋風に、梨の木が紅葉したのだなぁ

阿倍橘 (クネンボ)

撮影場所 市川市万葉植物園 我妹子(わぎもこ)に 逢はなく久し うまし物 阿倍橘(あべたちばな)の 苔生すまでに 万葉集 巻11-2750 妹に逢わずにずいぶん時がたってしまった。アベタチバナに苔が生えるほどまで

さのかた (アケビ)

撮影場所 大船フラワーセンター 狹野方(さのかた)は 実になりにしを 今さらに 春雨降りて 花咲かめやも 万葉集 10-1928 サノカタはもう実になりましたものを、今さら春雨が降って花の咲くことがありましょうか (既に結婚しているから、と云って相手を拒否し…

蒸・むし (カラムシ)

撮影場所 大船フラワーセンター むしぶすま 柔(なごや)が下に 臥(ふ)せれども 妹とし寝ねば 肌し寒しも 藤原麿(ふじはらのまろ) 万葉集 巻4−524 蒸(むし)で作った柔らかい布団にくるまって寝ているけれど、妹(いも)と一緒でないので体が冷たく…

荻・をぎ(オギ)

撮影場所 自然教育園 神風(かむかぜ)の 伊勢の浜荻(はまをぎ) 折り伏せて 旅宿(たびね)やすらむ 荒き濱邊(はまべ)に 碁檀越(ごのだんおち)の妻 万葉集 巻4−500 伊勢の荒い浜辺に生えているオギを折り伏せて、あの人は今ごろ旅寝をしていること…

ぬばたま(ヒオウギ)

撮影場所 鎌倉 光則寺 筑波山に登りて月を詠む一首 天の原 雲なき宵に ぬばたまの 夜渡る月の 入らまく惜しも 万葉集 巻9−1712 雲もない夜の大空を渡る月が沈んでしまうのは、まことに惜しいことだ *昨夜は満月が煌々と照っておりました。 ヒオウギの…

菱・ひし

撮影場所 市川市万葉植物園 豊国(とよくに)の 企玖(きく)の池なる 菱(ひし)の末(うれ)を 採(つ)むとや妹(いも)が 御袖(みそで)濡(ぬ)れけむ 豊前国の白水郎(あま) 万葉集 巻16−3876 豊国の企玖の池の菱の実を摘むという、あの娘のお袖は濡れたこと…

なぎ・こなぎ(ミズアオイ)

苗代(なはしろ)の 小水葱(こなぎ)が花を 衣(きぬ)に摺(す)り 馴(な)るるまにまに 何(あぜ)か愛(かな)しき 万葉集 巻14−3576 撮影場所 市川市万葉植物園 苗代のコナギの花で染めた衣が、着馴れるにつれて愛着があるように、あの娘も、親しく…

ぬなは (ジュンサイ)

撮影場所 市川市万葉植物園 わが情(こころ) ゆたにたゆたに 浮蓴(うきぬなは) 邊(へ)にも奥(おき)にも 寄りかつましじ 万葉集 巻7−1352 私の心は、ゆらゆらと浮かぶ蓴葉(ぬなは)のように、岸に寄るでもなく、沖に流れるでもなく、定まりません…

稗・ひえ

撮影場所 市川市万葉植物園 打つ田には 稗(ひえ)は数多(あまた)にありといへど 擇(え)らえしわれそ 夜をひとり寝(ぬ)る 柿本人麻呂 万葉集 巻11−2476 たがやした田んぼには稗(ひえ)が沢山生えているけれど、その中から選び捨てられた稗のよ…

粟・あは (あわ)

撮影場所 市川市万葉植物園 娘子(おとめ)、佐伯宿禰赤麿(さへきのすくねあかまろ)の贈るに報(こた)ふる歌一首 ちはやぶる 神の社(やしろ)し 無かりせば 春日(かすが)の野邊(のべ)に 粟(あは)蒔(ま)かましを 娘子(おとめ) 万葉集 巻3−404…

椎・しひ (しい)

撮影場所 横須賀くりはま花の国 家にあれば 笥(け)に盛る飯(いひ)を 草枕 旅にしあれば 椎の葉に盛る 有馬皇子 万葉集 巻2−142 家にいれば器にご飯を盛ってたべるものを、囚われの旅の途中なので、椎の葉に盛って食べることだ。

芝草・しばくさ (チカラシバ)

撮影場所 市川市万葉植物園 立ちかはり 古き都と なりぬれば 道の芝草 長く生ひにけり 田邊福麿 万葉集 巻6−1048 撮影場所 横須賀市平作 都がかわって、立派だった奈良の都も古い都になってしまったので、道の芝草がこんなに長く伸びてしまいました。

瓜・うり (まくわうり)

撮影場所 市川市万葉植物園 瓜食(は)めば 子ども思ほゆ 栗食(は)めば まして偲(しの)はゆ いづくより 来りしものぞ 眼交(まなかひ)に もとなかかりて 安眠(やすい)し寝(な)さぬ 山上憶良 巻5−802 瓜を食べると子供のことが思われる。栗を食べ…

あざさ (アサザ)

撮影場所 大船フラワーセンター うち日さつ 三宅の原ゆ 直土(ひたつち)に 足踏(ふ)み貫(ぬ)き 夏草を 腰になづみ 如何(いか)なるや 人の子ゆゑそ 通はすも吾子(あご) 諾(うべ)な諾(うべ)な 母は知らじ 諾(うべ)な諾(うべ)な 父は知らじ 蜷(みな)の…

朝顔・あさがほ(桔梗)

秋の七草 撮影場所 大船フラワーセンター 我が目妻(めづま) 人は離(さ)くれど 朝顔の 年さへこごと 我は離(さ)かるがへ 万葉集巻14ー3502 私の愛しい妻を人々は引き離そうとするけれど、幾年でも、私は決して離れませんよ *「あさがほ」は「む…

女郎花・をみなへし(おみなえし)

秋の七草 撮影場所 大船フラワーセンター 女郎花(をみなへし) 秋萩手折(たお)れ 玉桙(たまほこ)の 道行き襄(つと)と 乞はむ児がため 石川朝臣老夫(いしかわのあそみおきな) 万葉集 巻8−1534 オミナエシと秋萩をたおりなさいよ。あなたの旅の…

撫子・なでしこ

秋の七草 撮影場所 増富温泉 見渡せば 向ひの野辺の 撫子(なでしこ)の 散らまく惜しも 雨な降りそね 万葉集 巻10ー1970 見渡すと向こうの野に咲いているナデシコの花が散るのが惜しい。雨よ、降らないで。

葛・くず

秋の七草 撮影場所 自宅付近 女郎花(をみなへし) 生(お)ふる沢辺の 真田葛原(まくずはら) 何時(いつ)かも絡(く)りて わが衣(きぬ)に着む 万葉集 巻7−1346 おみなえしの生えている沢のほとりのクズ原のクズを、何時、糸に繰って、わたしの着…

尾花・おばな・かや(すすき)

秋の七草 撮影場所 秋田県 玉川温泉 陸奥(みちのく)の 真野(まの)の草原(かやはら) 遠けども 面影にして 見ゆといふものを 笠女郎(かさのいらつめ) 万葉集 巻3−396 みちのくの真野の草原(かやはら)は遠いけれど、心に思えば面影となって見える…

萩・はぎ 

秋の七草 撮影場所 市川市万葉植物園 笠朝臣金村(かさのあそみかなむら)の伊香山(いかごやま)にして作る歌二首 草枕(くさまくら) 旅行く人も 行き觸(ふ)らば にほひぬべくも 咲ける萩かも 万葉集 巻8−1532 伊香山(いかごやま) 野辺に咲きたる…

おもひぐさ (ナンバンギセル)

撮影場所 市川市万葉植物園 道の辺の 尾花が下の 思ひ草 今さらになど 物か思はむ 万葉集 巻10−2270 道の辺のすすきの下でひっそりと咲く思い草のように、私はあなた一人を頼みに思っています。今さらどうして物思いなどいたしましょう。 撮影場所 向…

たはみづら(ヒルムシロ)

撮影場所 市川市万葉植物園 安波峯(あはを)ろの 峯(を)ろ田に生(お)はる 多波美蔓(たはみづら) 引かばぬるぬる 吾(あ)を言(こと)な絶え 安波(あわ)の山の山田に生えているタワミヅラが、引いてもヌルヌルして離れないように、あなたも私とのた…

いはゐつら (スベリヒユ)

入間道(いりまぢ)の 大家が原の いはゐ蔓(つら) 引かばぬるぬる 吾(わ)にな絶えそね 万葉集 巻14−3378 入間道の大家が原のイハイツラが、引き抜けばいつまでもヌルヌルしているように、私との仲が切れてしまわないようにして下さい。 くすりの博…

澤蘭・さはあららき(サワヒヨドリ)

撮影場所 瑞牆山麓 富士見林道 天皇(孝謙天皇)と大后(光明皇后)と共に大納言藤原(仲麻呂)の家に幸(いでま)す日に,黄葉(もみち)せる澤蘭(さはあららき)一株(もと)を抜き取りて、内侍 佐佐貴山君(ささきのやまのきみ)に持たしめ、大納言藤原…