2007-01-01から1年間の記事一覧

藻 (も)

三島梅花藻 撮影場所 三島梅花藻の里 河の上(へ)の いつ藻(も)の花の 何時(いつも)何時も 来ませ我が背子 時じけめやも 吹芡刀自(ふふきのとじ) 万葉集 巻4−491 河のほとりのいつ藻の花のように、いつでもお出で下さい、わが背子よ。 何時でも季…

さなかづら(サネカズラ・ビナンカズラ)

撮影場所 円覚寺 黄梅院 丹波道(たにはぢ)の 大江の山の 真玉葛(またまづら・さなかづら) 絶えむの心 我が思はなくに 万葉集 巻12ー3071 二人の仲が途絶えるようになんて私は思っていないのに。 12月5日 小春日和に誘われて、北鎌倉の円覚寺へ…

真弓・まゆみ

み薦(こも)刈る 信濃の真弓 引かずして 弦(を)はくる行事(わざ)を 知ると言はなくに 石川郎女(いしかはのいらつめ) 万葉集 巻2ー97 信濃の真弓を引いて見もしないで、弓弦のかけかたを知っている人はないと言います。(本気で気を引いて見もしな…

難波宮 (なにわのみや)

冬10月、難波宮に幸しし時に、笠朝臣金村の作る歌一首 押し照る 難波の国は 葦垣(あしかき)の 古(ふ)りにし郷と 人皆の 思ひ息(やす)みて つれもなく ありし間(あひだ)に 績麻(うみを)なす 長柄(ながら)の宮に 真木柱(まきはしら) 太(ふと…

かへるで (かえで)

撮影場所 奈良公園 わが屋戸(やど)に 黄變(もみつ)かへるで 見るごとに 妹を懸(か)けつつ 恋ひぬ日は無し 大伴田村大嬢(おおとものたむらのおおいらつめ) 万葉集 巻8-1623 我が家の庭に美しく色づいたカエデを見るごとに、あなたを心にかけて恋しく…

鎌倉山

衣張山から鎌倉アルプス天園・大平山方面 薪(たきぎ)樵(こ)る 鎌倉山の 木垂(こだる)る木を 松と汝(な)が言はば 恋ひつつやあらむ 万葉集 巻14−3433 薪を樵る繁った木々を、松ノ木だ(待っている)と貴女が言うなら、なんで私はここで恋しく思…

見越しの崎 (説Ⅱ 稲村ガ崎)

七里ガ浜から 鎌倉の 見越しの崎の 岩崩(いわくえ)の 君が悔ゆべき 心は持たじ 万葉集 巻14ー3365 鎌倉の見越しの崎の岩が崩れるような、あなたが後悔なさるような浅い心など、私は決して持ちません。 * 見越しの崎は、御輿ヶ嶽、稲村ガ崎、また七…

見越しの崎 (説Ⅰ 御輿ヶ嶽)

鎌倉 甘縄神明宮 鎌倉の 見越しの崎の 岩崩(いわくえ)の 君が悔ゆべき 心は持たじ 万葉集 巻14ー3365 鎌倉の見越しの崎の岩が崩れるような、あなたが後悔なさるような浅い心など、私は決して持ちません。 *御輿ヶ嶽とは、甘縄神明宮から長谷の大仏…

美奈瀬川・みなのせがわ (現 稲瀬川・鎌倉由比ガ浜)

ま愛(かな)しみ さ寝に吾(わ)は行く 鎌倉の 美奈の瀬川に 潮満つなむか 万葉集 巻14−3366 妹(いも)可愛さに、わたしは共寝をしに出かける。鎌倉の美奈瀬川に今頃は潮が満ちているだろうか。 稲瀬川の碑(昔は様々な悲劇があったところです) 稲…

撮影場所 秋田県 玉川温泉 朝霧に 濡れにし衣 干さずして 獨(ひと)りか君が 山道(やまぢ)越ゆらむ 万葉集 巻9−1666 朝霧で濡れた衣を乾かしもしないで、今頃あなたは独りで山道を越えておいででしょうか * 斉明天皇が紀の温泉(白浜温泉)行幸の時…

雫 (しづく)

撮影場所 箱根 俵石 大津皇子 石川郎女に贈る御歌一首 あしひきの 山のしづくに 妹待つと われ立ち濡れぬ 山のしづくに 万葉集 巻2−107 貴女を待ってたたずんでいて、私はすっかり山のしずくに濡れてしまいました。 撮影場所 湿生花園 石川郎女 和(こた…

村雨 (むらさめ)

撮影場所 箱根 湿生花園 庭草に 村雨(むらさめ)降りて 蟋蟀(こほろぎ)の 鳴く声聞けば 秋づきにけり 万葉集 巻10−2160 庭草に にわか雨が降ってコオロギの鳴く声を聞くと、あぁ秋らしくなったなと感じます。 ひつじぐさ 撮影場所 自宅

みつながしは(かくれみの)

撮影場所 市川市万葉植物園 君が行き 日(け)長くなりぬ 山たずの 迎へを往かむ 待ちには待たじ 万葉集 巻2−90 上の歌の左註に ・・・三十年秋九月乙卯の朔の乙丑、皇后紀伊国に遊行(いでま)して熊野岬に到りて、其処の御綱葉(みつながしは)を取りて…

白露

撮影場所 箱根 湿生花園 白露に 争ひかねて 咲ける萩 散らば惜しけむ 雨な降りそね 万葉集 巻10ー2116

撮影場所 向島百花園 我が待ちし 秋は来たりぬ 然(しか)れども 萩の花そも いまだ咲かずける 万葉集 巻10−2123 私が待っていた秋はやってきました。けれども萩の花はまだ咲きません。 * 向島百花園には立派な萩のトンネルがあります。8月に行った…

撮影場所 増富温泉 ここにして 家やも何処(いづく) 白雲の たなびく山を 越えて来にけり 石上卿(いそのかみのまえつきみ) 万葉集 巻3ー287 ここからは私の家はどちらの方にあたるのだろう。白雲のたなびく山を越えてはるばる来たものだ。

うつせみ (蝉のぬけがら)

撮影場所 向島百花園 うつせみの 世は常なしと 知るものを 秋風寒み 偲(しの)ひつるかも 大伴家持 万葉集 巻3−465 この世は無常の世であるとは知っているものの、秋風の寒さに亡き人が偲ばれることです。

麻・あさ

庭に立つ 麻手(あさて)刈り干し 布さらす 東女(あずまをみな)を 忘れたまふな 常陸娘子(ひたちのおとめ) 万葉集 巻4−521 庭の麻を刈って干し、麻布を曝している東女の私を、どうぞお忘れにならないで下さい。 麻の葉模様 日本古来の麻とは、大麻の…

榎・え (えのき)

撮影場所 向島百花園わが門の 榎(え)の実もり喫(は)む 百千鳥(ももちどり) 千鳥は来(く)れど 君そ来まさぬ 万葉集 巻16−3872 我が家の門口にある榎の木の実を群がって食べている沢山の鳥、沢山の鳥は来るけれど、あなたは来て下さいません。 …

百合・ゆり(やまゆり)

撮影場所 山梨県 増富温泉 道の辺の 草深百合(くさふかゆり)の 花咲(はなえみ)に 咲(え)まししからに 妻といふべしや 万葉集 巻7−1257 道のほとりの草の茂みに百合の花の咲くように、ちょっと微笑みかけただけで妻であるというのでしょうか。 そ…

鰻・むなぎ

[ 痩せたる人を嗤咲(わら)ふ歌二首石麿(いはまろ)に われ物申す 夏痩せに 良しといふものそ 鰻(むなぎ)取り食(め)せ万葉集 巻16−3853 痩(や)す痩すも 生けらばあらむを はたやはた 鰻を取ると 川に流るな万葉集 巻16−3854 右は、吉田…

楡・にれ

ハルニレ 撮影場所 市川市万葉植物園 乞食者(ほかひびと)の詠(うた)おし照るや 難波の小江(おえ)に 廬(いほ)作り 隠(なま)りて居る 葦蟹(あしがに)を 大君(おおきみ)召すと 何せむに 吾(わ)を召すらめや 明(あきら)けく 吾が知ることを 歌人と …

ひめゆり

撮影場所 箱根 湿生花園 夏の野の 繁(しげ)みに咲ける 姫百合の 知らえぬ恋は 苦しきものそ 大伴坂上郎女 万葉集 巻8−1500 夏の野の繁みに咲いている姫百合のように、ひっそりと心に秘めた恋は苦しいものです。 撮影場所 市川市万葉植物園 箱根 湿生…

茜・あかね

撮影場所 自宅付近 あかねさす 日並べなくに 我が恋は 吉野の川の 霧に立ちつつ 車持朝臣千年 万葉集 巻6−916 旅に来て、日数を経たわけではないのに、妻を恋う思いは、吉野川の川霧となっ て、立ちわたっています。 撮影場所 沢渡温泉 撮影場所 自宅付…

紅・くれない (ベニバナ)

撮影場所 市川市万葉植物園 紅に 染(し)めてし衣 雨降りて にほひはすとも うつろはめやも 豊後国の白水郎(あま) 万葉集 巻18−3877 いったん紅に染めた着物は、たとえ雨にあって、色が美しくなることはあっても、色があせることはありません。 桜…

紫・むらさき

撮影場所 向島百花園 紫は 灰指(さ)すものそ 海石榴市(つばいち)の 八十(やそ)の街(ちまた)に 逢へる児や誰(たれ) 巻12−3101 海石榴市の辻で逢ったあなたは、何と言うお名前ですか。 紫根 撮影場所 市川市万葉植物園こきむらさき なかのむら…

麥 ・ むぎ

撮影場所 群馬県中之条 反下 馬柵(うませ)越しに 麥(むぎ)食(は)む駒の 詈(の)らゆれど なほし戀(こひ)しく 思ひかねつも 万葉集 巻12−3096 馬柵越しに馬が麦を食べると叱られるように、わたしも親に叱られるけれど、いくら叱られても、なお…

卯の花・うのはな

撮影場所 群馬県 沢渡温泉 卯の花の 散らまく惜しみ 霍公鳥(ほととぎす) 野に出(で)山に入り 来鳴き響(とよも)す 万葉集 巻10−1957 卯の花が散るのを惜しんで、ホトトギスが野に出、山に入りして、やって来て鳴きたてています。 撮影場所 沢渡温…

つがの木・栂

撮影場所 大船フラワーセンター 三諸(みもろ)の 神名備(かむなび)山に 五百枝(いほえ)さし 繁(しじ)に生ひたる つがの木の いや継ぎ継ぎに 玉かづら 絶ゆることなく ありつつも 止まず通はむ 明日香(あすか)の 奮(ふる)き京師(みやこ)は 山高み …

梧桐・ごとう(桐・あおぎり)

撮影場所 鶴岡八幡宮 梧桐(ごとう)の日本琴(やまとごと)一面・・・ 此の琴 夢に娘子(おとめ)に化(な)りて曰はく・・・ 如何にあらむ 日の時にかも 声知らむ 人の膝の上(へ) わが枕かむ 大伴旅人 万葉集 巻5−810 いつになったら、私の音色を聞き…