恋ふる日の け長くあれば わが園の 韓藍(からあゐ)の花の 色に出でにけり
万葉集 巻10ー2278
恋しく思う日々が続くので、私の庭の韓藍の花のように、はっきりと顔色に出てしまいました。
ケイトウ(鶏頭) 韓藍 鶏冠草
ヒユ科の一年草 熱帯アジア原産
中国から朝鮮半島を経て日本に渡来した。「からあゐ」は韓(朝鮮の古名)から来た藍の意。
薬用 下痢、痔、子宮出血、凍傷など。
古くは染料として用いられ食用に栽培されたこともあったという。
ケイトウの花といえば、鶏のトサカのような鮮やかな赤い花を思い浮べます。
万葉の時代に薬用、染料、食用など、実用植物として渡来した韓藍。
変わった形の赤いビロードような花は、万葉人の目にはエキゾチックで、さぞ魅力的に映ったことでしょう。
家庭の庭にも観賞用に種を蒔き、異国の珍しい植物を愛でた様子が韓藍を詠んだ他の万葉歌からも窺えます。
爽やかな秋の日が続きますので、しばらくご無沙汰だった大船のフラワーセンターに行ってみる気になりました。
ちょうどケイトウが植栽されたばかりで、この日も職員さんが追加の苗を植えていました。
いわゆる鶏頭の形、カリフラワーみたいな形、槍のような、また刷毛のようにふさふさしたもの、
色もとりどりに、初めて見る珍しい色合いもあって楽しめる展示になっています。
大きな葉鶏頭も秋の陽射しを受けて輝くように花壇を縁取り、華やかな雰囲気を醸しておりました。