かへるで




我が屋戸に 黄変(もみ)つ蝦手(かへるで) 見るごとに 妹を懸けつつ 恋ひぬ日は無し


                     萬葉集 巻8ー1623  田村大嬢(たむらのおほいらつめ)



   わが家の紅葉した楓を見る度に、貴女の事を気にかけて恋しく思わない日はないのです。



   大伴田村大嬢が、妹の坂上大嬢に贈った歌です。






このところの冷え込みに、遅れていた庭の楓がようやく色づいてきました。
狭い庭の片隅の日当たりの良くない場所に植えて手入れを怠っている所為で、樹形は悪いし葉はゴチャゴチャ混みあって光が届き難く、中側の葉は未だ青々していますが、梢の先は光を求めて上へ上へと伸び、その先端の葉から少しずつ紅く黄色く染まって来てそれなりに目を楽しませてくれています。


この一年は、自分自身はさて置いて、ツレの順調過ぎる老いに愕然とする事の多い日々でした。
尤も、本人はそんな事ちっとも気にする様子もなく、人に心配をかけている自覚もないらしく、マメに機嫌よくお出かけしたり、書斎に閉じ籠っては読書三昧、CDで音楽三昧の日常です。
そんなこんなの私の取り留めのない気紛れダイアリーにお付き合い頂きまして、誠にありがとうございました。
冬枯れの今の庭の少ない彩りを載せまして今年の締めくくりといたします。
どうぞお健やかに、良い新年をお迎えくださいませ。



藪椿


つわぶき


蔓バラ


柚子


万両