2014-08-01から1ヶ月間の記事一覧

秋の雨

秋の雨に 濡れつつをれば 賤(いや)しけど 吾妹(わぎも)が屋戸し 思ほゆるかも 万葉集 巻8−1573 大伴利上(おほとものとしかみ) 秋の雨に濡れしおたれていると、粗末な家ではあるけれど、吾妹子の家が思われます。 きのう、東京湾方面から気味の悪い…

忘れ草 (萱草)

わすれ草 わが紐に付く 香具山の 故(ふ)りにし里を 忘れむがため 万葉集 巻3−334 帥(そつ)大伴卿(おほとものまへつきみ) 忘れ草を私の紐に付けます。香具山のあたりのあの懐かしい故郷を、ひとときでも忘れているために。 * 帥大伴卿とは、大宰府…

石走(いわばし)る 瀧もとどろに 鳴く蝉の 声をし聞けば 都し思ほゆ 万葉集 巻15−3617 大石蓑麿(おおいしのみのまろ) 岩の上を流れる滝の音が轟くばかりに鳴く蝉の声を聞くと、奈良の都が偲ばれます。 *天平8年6月、遣新羅使船が安芸の国(広島…