2007-01-01から1年間の記事一覧

柏・かしは

撮影場所 市川市万葉植物園 朝柏(あさかしは) 閏八川(うるはかは)辺の 小竹(しぬ)の芽の 偲(しの)ひて寝(ぬ)れば 夢(いめ)に見えけり 万葉集 巻11−2754 恋人を心に思いながら寝たので、夢にその姿が見えました。

桜皮・かには (ウワミズザクラ)

撮影場所 大船フラワーセンター 味さはふ 妹(いも)が目離(か)れて 敷栲(しきたへ)の 枕(まくら)も纏(ま)かず 桜皮(かには)纏(ま)き 作れる舟に 真楫(まかぢ)貫(ぬ)き 我(わ)が漕(こ)ぎ来れば 淡路(あはぢ)の 野島(のしま)も過ぎ 印南端(いなみつま) 辛荷(…

箱根 四月の雪

山の際(ま)に 鶯鳴きて うちなびく 春と思へど 雪降り敷きぬ 巻10−1837 峯(を)の上に 降り置く雪し 風のむた 此処に散るらし 春にはあれども 巻10−1838 峰の上に降り積もっている雪が、風と共にここに散ってくるらしい。もう春なのに。 撮影…

やまざくら 撮影場所 箱根 湿生花園 あしひきの 山桜花 日並(ひなら)べて 斯(か)く咲きたらば いと恋ひめやも 山部赤人 万葉集 巻8−1425 山の桜が幾日もこのように咲きつづけるのだったら、私はこんなに桜の花を恋しく思うだろうか。 まめざくら(…

李・すもも

撮影場所 市川市万葉植物園 わが園の 李(すもも)の花か 庭に降る はだれのいまだ 残りたるかも 大伴家持 万葉集 巻19−4140 あれは、うちの庭のスモモの花だろうか。それとも、庭にはらはらと降った薄雪が、まだ庭に残っているのだろうか。 * スモモ…

蕨・わらび

撮影場所 河口湖 石(いは)ばしる 垂水(たるみ)の上の さ蕨(わらび)の 萌え出づる春に なりにけるかも 志貴皇子(しきのみこ) 万葉集 巻8−1418 石の上を激しく流れる滝のほとりのさわらびが、芽を出す春になったんですね。 撮影場所 沢渡温泉

蘭螵・らにけい (シュンラン)

撮影場所 市川市万葉植物園 沽洗(陰暦三月)二日,掾大伴宿禰池主のなり忽に芳音を辱(かたじけな)くし、翰苑(かんえん)雲を凌ぐ。兼て倭詩(うた)を垂れ、詞林錦を舒(の)ぶ。以て吟じ以て詠じ、能(よ)く戀緒を蠲(のぞ)く。春は楽しむ可(べ)し。暮…

朱華・はねず (ニワウメ)

撮影場所 自宅 思はじと 言ひてしものを 朱華色(はねずいろ)の 變(うつろ)ひやすき わが心かも 大伴坂上郎女(おおとものさかのうえのいらつめ) 万葉集 巻4−657 「もう恋はしない」と言ったのに、また恋をしてしまいました。はねずの花の色のように…

かし (あかがし)

撮影場所 自然教育園 紀の温泉(ゆ)に幸(いでま)しし時、額田王の作る歌 莫囂圓隣之大相七兄爪湯気 わが背子(せこ)が い立たせりけむ 巌橿(いつかし)が本 万葉集 巻1−9 今日は???な一首でした。 斉明天皇が白浜温泉に行幸した時の歌です。 *訓…

恵具・ゑぐ (クログワイ)

撮影場所 春日大社神苑 万葉植物園 君がため 山田の澤(さわ)に 恵具(えぐ)採(つ)むと 雪消(ゆきげ)の水に 裳(も)の裾(すそ)濡(ぬ)れぬ 万葉集 巻10−1839 あなたのために山田の沢でエグを摘もうとして、雪解けの水に裳裾が濡れてしまいま…

椿

やぶつばき 撮影場所 京都市 城南宮 河の上(へ)の つらつら椿 つらつらに 見れども飽(あ)かず 巨勢(こせ)の春野は 春日蔵首老(かすがのくらびとのおゆ) 万葉集 巻1−56 河のほとりにいっぱい並んで咲いている椿。いくら見ても見飽きない、この巨勢…

海松・みる

撮影場所 天神島ビジターセンター 神風(かむかぜ)の 伊勢の海の 朝凪(な)ぎに 来寄る深海松(ふかみる) 夕凪(な)ぎに 来寄るまた海松(みる) 深海松(ふかみる)の 深めしわれを また海松の 復(また)行き反(かへ)り 妻と言はじとかも 思ほせる君 万葉集 …

なのりそ(ホンダワラ)

撮影場所 横須賀市 天神島 みさごゐる 磯廻(いそみ)に生(お)ふる 名乗藻(なのりそ)の 名は告(の)らしてよ 親は知るとも 山部赤人 万葉集 巻3−362 みさご(鷲鷹目の猛禽)のいる磯の「なのりそ」のように、あなたも名をお言いなさいよなさいよ、…

たく (こうぞ)

撮影場所 小石川植物園 水沫(みなわ)なす 幑(もろ)き命も 栲縄(たくなは)の 千尋(ちひろ)にもがと 願ひ暮らしつ 山上憶良 万葉集 巻5−902 水のあわのようにすぐ消えるはかない命も、コウゾでなった縄のように、千尋も長かれと願って暮すことよ …

梅・うめ

撮影場所 自宅付近 梅の花 今盛(さか)りなり 百鳥(ももとり)の 聲(こえ)の恋(こほ)しき、春来たるらし 小令史田氏肥人(しょうりょうしでんしこまひと) 万葉集 巻5−834 梅の花は今盛りです。沢山の鳥の声が恋しい春が来たようです。

白橿 (しらかし)

撮影場所 大船フラワーセンター あしひきの 山道(やまじ)も知らず 白橿(しらかし)の 枝もとををに 雪の降れれば 万葉集 巻10−2315 しらかしの枝がたわむほど雪が降り積もっているので、、山道をどう行ってよいかわからない

わかめ

撮影場所 鎌倉 材木座海岸 角島(つのしま)の 迫門(せと)の稚海藻(わかめ)は 人のむた 荒かりしかど わがむたは和海藻(にきめ) 万葉集 巻16−3871 角島の瀬戸のワカメは、他人には荒々しくて靡かなかったが、私には柔らかくてすなおな海藻だよ …

なはのり (昆布)

海原(うなはら)の 沖つ縄苔(なはのり) うち靡(なび)き 心もしのに 思ほゆるかも 万葉集 巻11−2779 海原の沖に生えている縄苔のように、心もなよやかに打ちなびいて、あなたが恋しく思われることです *縄苔とはウミソウメンという説もあります