上毛野(かみつけの) 可保夜(かほや)が沼の いはゐ蔓 引かばぬれつつ 吾(あ)をな絶えそね
万葉集 巻14−3416 東歌
上野(かみつけ)の可保夜(かほや)が沼に生えているイハイツラが引けばゆるんで抜けるように
私との仲が、きれてしまわないようにして下さい。 (いつまでも私と離れないでね)
* 可保夜(かほや)が沼は所在未詳
スベリヒユ (滑り莧) スベリヒユ科 一年草
花弁5個 花径6〜8mm
古名 いはゐつら
食用 茹でてお浸しや和え物に。茹でたものを乾燥させて保存食とする。
薬用 利尿、消炎、抗菌、解毒
子供の頃、スベリヒユは道端や空き地など何処にでも見られる雑草でしたが、近頃は余り見かけなくなりました。
先だって行った山形の紅花の里で、もう咲き終わった紅花畑の縁に沢山のスベリヒユが繁茂しているのを見て
「あ! 万葉の植物ひとつゲット」 と大喜びでカシャカシャ写しましたが、思ったようには写らず・・・
マクロレンズだったらもう少し大きくクッキリ花が撮れるのかなぁ?
花の咲く前のスベリヒユを摘んで調理すると美味しく食べられるとか。
茹でるとヌメリが出て酸味があり、シャキシャキした食感と独特のぬめりを味わうのだそうです。
「このスベリヒユを改良した『タチスベリヒユ』がヨーロッパから中国にかけて栽培され、葉や柔らかい茎をサラダや煮物に利用する」
と、私の持っている古い植物図鑑にありますが、現在、すでに日本でも、山形県の農家さんが栽培しておられると聞きました。
山形県ではスベリヒユを「ヒョウ」と呼び、昔から食用とする習慣があるようです。
昨年の秋、松川沿いの遊歩道を散策している時、道路脇のコンクリートの隙間から茎を伸ばす、ひと株のスベリヒユを見つけました。
葉は紅葉していて、でも未だ花を残し、上半分が帽子をとったようにパカッと蓋を開けた実の中に、小さな種がありました。
スベリヒユの園芸種、ポーチュラカ (ハナスベリヒユ)。 山寺で。