道の辺の 草深百合(くさふかゆり)の 後(ゆり)にとふ 妹が命を われ知らめやも
万葉集 巻11−2467
道のほとりの茂みに咲いている百合のように、ユリに(後で)、というあの娘の命を私は知っているだろうか。
知りはしない。(だから早く逢いたいのです。)
吉野正美さんによる、もっと分かりやすい訳
会ってくれませんか、というと、いつもあの娘(こ)は、あとでね、とサラリとかわしてしまう。
道端の茂みにひっそりと咲いているユリの花のようには、いつまでも待っていられないよ。
* 後(ゆり)とは後(あと)で、という意味です。
山形県高瀬地区で紅花を楽しんだ翌日は山寺に立ち寄り、その後、仙台の奥座敷といわれる作並温泉に泊まりました。
宿の周りを歩いてみますと、木の間や生い茂った草むらのあちらこちらに山百合の花が今を盛りと咲き競っています。
「山ゆり」は神奈川県の県花で、三浦半島でもそれほど珍しい花ではないのですが、近頃は近くの里山歩きも億劫になってきて
自生の山百合に出会う機会がありませんでしたから、久しぶりに見る白い花が妙に可憐に思われたのでした。
実際、同じ山百合でも、関東地方ではしばしば猛々しく感じるほど大きくて丈夫そうな、香りの強い花が咲きますが
作並で見た花は比較的小ぶりで茎も葉も細く、たおやかな印象を受けました。香りも余りきつくなくて。
野山で見る山百合の花は好きですが、あの甘さの強い香りはちょっと苦手にしております。
こちらはウチの庭に咲いたカノコユリ
タカサゴユリも咲きました。