鹿



さを鹿の 心相(あい)思ふ 秋萩の しぐれの降るに 散らくし惜しも


 万葉集 巻10ー2094



牡鹿の心に思っている秋萩が、時雨が降って散ってしまうのは惜しいことです




万葉集には、鹿と萩を一緒に詠んだ歌が何首もあります。


時雨の降る日の午後、春日野を歩いて沢山の鹿に出会いました。
のんびり草を食んだり寝そべったり、鹿せんべいを買った人を追い掛け回して強引にねだったり、人は悲鳴を上げて逃げる様子が可笑しくて思わず笑ってしまいました。


道にも芝の上にも一面に鹿の糞がこぼれているので、避けて歩くのは至難の技です。


牡鹿たちはもう殆んどが角きりされて、立派な体格をしているのに風格がいまひとつ。
鹿さんにしてみれば、無理やり角を切られてさぞ迷惑なことでしょうが、これも人への危害や、鹿同士が突きあい、傷つけあうのを避ける為だそうですからしかたありません。


この奈良の鹿を保護する『鹿愛護会』が財政難で、鹿たちを守るのもご苦労が多いようです。



小競り合いをする牡鹿二頭、角が無いのでチト迫力に欠けますね


左の牡鹿が降参したもよう


こちらはのぉ〜んびりと
 


時雨に濡れる萩