能登川



能登川の 水底(みなそこ)さへに 照るまでに 三笠の山は 咲きにけるかも


    万葉集 巻10−1861



能登川(のとがわ)の水底さえ輝くほどに、三笠(みかさ)の山に花が咲いています



 春の雑歌、花を詠む の中の一首です。


 能登川は、春日山高円山の間の谷を源とし、白毫寺の町を流れ、やがて佐保川と合流する小さな川です。水量は少なく、民家の間を細々と流れて格別の風情もありませんが、水は空の青を映していました。
薬師寺から滝坂の道(柳生街道)方面へもう少し上ってみれば、今でも三笠山の影を映すような流れに出会えたかも知れません。
ちょっと行って見ればよかったなぁ! うっかりしていて残念・・・


水底が輝くほど咲いていた花は梅か桜か〜?
この歌の前が山吹を詠んだ歌なので、山吹ではないかという説もあるそうです。



白毫寺への道から望む三笠山、その奥は若草山です


柿が川面に・・・


能登川橋、正面は高円山