秋の野で


9月に入っても暑い日が続き家に籠りがちでしたが、少しは歩かなければ、と先週、箱根湿生花園に出かけました。
宮ノ下辺りでは蒸し暑く、強羅はやや蒸すかな? 仙石原まで行きますと空気はサラリと爽やかな風が渡って通ります。
湿生花園の秋の花は、サギソウ、女郎花が終盤、ワレモコウ、アサマフウロ、サクラタデ、サワギキョウ、アケボノソウなどが見頃でした。
鮮やかな青のエゾリンドウもちらほら、向かいの台のススキの草原は白く輝いていましたから、穂が出揃ったのかもしれません。
そんな中に、万葉集に詠まれた草花も幾つか目に留まりましたので写してきました。
曼珠沙華、ススキは富士屋ホテルの庭で写したものです。、



うけら (おけら)   写真の花は「大花オケラ」で中国原産。日本に自生する朮(おけら)とは色も大きさも違いますね。

わが背子を何(あ)どかも言はむ武蔵野のうけらが花の時無きものを   巻14−3379



思ひ草 (なんばんぎせる)

道の邊の尾花が下の思ひ草今さらになど物か思はむ   巻10−2270



玉掃 タマバハキ (こうやぼうき)   これはナガバノコウヤボウキかも・・・?

玉掃刈り來(こ)鎌麿(かままろ)室(むろ)の樹と棗が本(もと)をかき掃かむため   巻16−3830



をみなへし (女郎花)

手に取れば袖さへにほふ女郎花この白露に散らまく惜しも   巻10−2115





この夕(ゆふべ)秋風吹きぬ白露にあらそふ萩の明日咲かむ見む   巻10−2102



撫子  ナデシコ

野邊見れば撫子の花咲きにけりわが待つ秋は近づくらしも   巻10−1972



壹師 イチシ  (彼岸花

路の邊の壹師(いちし)の花のいちしろく人皆知りぬわが戀妻を   巻11−2480

いちしろく :  顕著に、はっきりと、目立って  



尾花 (すすき)

わが屋戸の尾花おし靡(な)べ置く露に手觸れ吾妹子散らまくも見む   巻10−2172