燕(つばめ)来る 時になりぬと 雁(かり)がねは 本郷(くに)思いひつつ 雲隠(がく)り鳴く
ツバメが来る夏になったと、雁は故郷を思いながら、雲に隠れて鳴いています。
*この歌は、「帰る雁を見る歌二首」と題されたうちの一首ですので、歌の主役は雁なのですが、先日ツバメの巣をみつけ、可愛いヒナを写すことが出来ましたので、「つばめ」のタイトルに致しました。ツバメを詠みこんだ歌は、万葉集にはこの一首のみのようです。
今、近くの商店街に買い物に出掛けますと、町の空をツバメが忙しそうに飛び交っているのをよく目にします。子育てまっ最中で、食欲旺盛なヒナ達を満腹させるために、次から次へと獲物を運んで与えては直ぐまた飛び去ります。親ツバメが餌を捕って帰って来ると、一斉に首を伸ばし大きく口を開けて頂だい頂戴とアピールする子ツバメを見ていて、ちゃんと順番に公平に貰えるのだろうか? 親ツバメは「さっきはあの子にあげたから次ぎはこの子に」と見分けているのだろうか? と真剣に考えてしまいました。みんな元気に育っているのだから大丈夫ですね。きっと。