沢渡温泉




左和多里(さわたり)の 手児(てご)に行き逢ひ 赤駒が 足掻(あがき)を速(はや)み 言問(ことと)はず来ぬ 


                       万葉集 巻14−3540




さわたりの娘に行き逢ったけれど、私の赤駒の足が速いので、言葉もかけないで来てしまった。



「左和多里」については確定されていないようですが、ここ沢渡には往事を彷彿とさせる雰囲気が残っています。


沢渡神社



万葉歌碑

この歌碑は1800年代のもので、裏に、まるほん旅館のご先祖さんの名が刻まれています。


5月中旬に沢渡温泉に行って参りました。ここの「まるほん旅館」がお気に入りで、毎年静養に出かけています。
昔ながらの素朴さを感じさせる宿で、余計なお世話は一切無し。寝具の上げ下ろし、浴衣の交換、部屋の清掃等は、食堂での食事中に全てやってくれますので、過不足なく、私共にはとても自由で気楽です。
食事は家庭的な手作り料理が主体で、A・Bのコースから選べ、他にもCコース(最も量の少ない献立)にも対応してくれます。きらびやかなご馳走はありませんので、先代さんは「ご馳走が食べたいお客さんは、他に行ってください」と言っていました(笑) 
朝食のお味噌汁が、具だくさんのお母さんの味噌汁で、熱々のを「ズルズル ぷはぁ〜」と美味しそうにすする男性が多いです。「味噌汁お代わりくださぁい」と云う声もします。
当代さんは元銀行員だった方で、先代さんに跡継ぎがなく、あわや廃業と云うところを、養子縁組なさって跡を継がれたご夫妻です。温泉宿の主となって、今年で5年になるそうですが、若いセンスが生かされて、館内の雰囲気が少し柔らかくなったような。インターネットで容赦ないことを書かれる事もあるようですが、この素朴さは失わないで欲しいものです。

1枚目の写真の山は有笠山で、下を通る道は日本ロマンチック街道です。暮坂峠を越えて、六合村草津志賀高原に至ります。 



まるほん旅館



まるほん旅館 大浴場

階段を下りて湯治場風情を残す浴室です


ギシギシと階段を下りると、左右に二つの浴槽があります

大浴場は混浴ですが、朝と夜に女性専用となる時間帯があり、他に「婦人風呂」と、空いていれば自由にどうぞ!の「家族風呂」「露天風呂」があります。


小さな甍を連ねる温泉街



沢渡川



近くにはこんな田園風景も



キュウリグサが咲いていました。 2〜3mmのワスレナグサに似た花です。

わが家の周囲で見る花より色が鮮やかです。