明日香川 明日も渡らむ 石橋(いははし)の 遠き心は 思ほえぬかも
万葉集 巻11−2701
明日香川の石橋を渡って明日もあなたに逢いに行きましょう。
私はあなたに対して、飛び飛びの石橋のようにかけ離れた心など持っていません。
(あなたのことをずっと思っています)
万葉の歌に詠まれた石橋とは、川を渡るために置かれた飛び石のことです。
今でもありますよね。以前、京都の賀茂川でコンクリート製の飛び石を渡りました。
たまに行く群馬県の沢渡温泉を流れる沢渡川にもあって、飛び石の中ほどに立つと川風が心地よいです。
妻の元に通ったり、恋人と待ち合わせをしたり、田畑で働く為にも、万葉時代の人々はこの飛び石を日々渡って行ったのたのでしょう。
私も渡ってみました。安定した大きな石で、難なく渡れました♪
ここに古くからあった飛び石は台風で流されてしまい、今ある石はその後に置かれたもので、明日香村の重要文化財に指定されている、とタクシーの運転手さんが教えてくれました。
有名な『稲淵の棚田』の少し先に『明日香川の飛び石』はありました。
飛鳥駅からタクシーで宿泊先に向かう途中、運転手さんと棚田の話をして、宿の直ぐ近くだから寄って見ますか?と言われてその気になり、飛び石は近く? 栢森(かやのもり)は?と結局ぐるっと廻って貰った後、宿に入ったのでした。
今はちゃんとした橋も架かっています→
←万葉歌碑が二つ並んで建っています。
大きい万葉仮名で刻んである石は犬養孝書。
手前の小さい歌碑はどなたの筆か?
☆ ☆ ☆
明日香での宿は祝戸荘にとりました。
石舞台から稲淵方面に徒歩10分程の所にあります。
小高い山腹に建つ祝戸荘→
←玄関先で案山子のお出迎え
泊まるのは山の斜面を利用して建てられたコテージ風の離れ家で、全ての部屋に飛鳥時代ゆかりの名が付いています。ここは『間人』 20畳の広さ。
寝具の上げ下ろしは各自で行うシステム。
夕食は『万葉あすか葉盛御膳』を頂きました。古代食を現代風にアレンジしたお料理です。
『飛鳥』の焼印の上の四角い物は、古代のチーズ『蘇』。にごり酒も添えてありました。