2006-01-01から1年間の記事一覧

土針・つちはり (メハジキ)

撮影場所 市川市万葉植物園 撮影場所 小石川植物園 わが屋前(やど)に 生(お)ふる土針 心ゆも 想はぬ人の 衣(きぬ)に摺(す)らゆな 万葉集 巻7−1338 我が家の庭先に生えている土針よ(恋しい人よ) 心から好きでもない人と一緒になってはいけませ…

棗・なつめ

撮影場所 小石川植物園 玉掃(たまばはきき)刈り来 鎌麿(かままろ) 室(むろ)の木と 棗(なつめ)が本(もと)を かき掃(は)かむため 万葉集 巻16-3830 コウヤボウキを刈って来なさい、鎌麿よ。ムロ(ネズ)とナツメの木の下を掃くんだから。 くすりの…

楝・あふち (せんだん)

撮影場所 道後公園 妹が見し 楝(あふち)の花は 散りぬべし わが泣く涙 いまだ干(ひ)なくに 山上憶良 万葉集 巻5−798 妻が見た楝(あふち)の花はきっと散ってしまったでしょう。妻を失った私の涙はまだ乾いていないのに 鎌倉 本覚寺 えびす堂前の栴檀の…

あかね

撮影場所 小石川植物園 あかねさす 紫野(むらさきの)行き 標野(しめの)行き 野守(のもり)りは見ずや 君が袖振る 額田王 万葉集 巻1−20 紫草が生えている御料地の野を走りながら、あなたは私に手を振って下さるけれど、紫野の番人が見はしないでしょ…

和草・にこぐさ (ハコネシダ)

撮影場所 小石川植物園 蘆垣(あしかき)の 中の似児草(にこぐさ) にこよかに われと咲(え)まして 人に知らゆな 万葉集 巻11−2762 にこやかに私と顔を見合わせてお笑いになって、(二人の関係を)人に知られないようにして下さい。

蓮・はちす (ハス) 

撮影場所 大船フラワーセンター ひさかたの 雨も降らぬか 蓮葉(はちすは)に 渟(た)まれる水の 玉に似たる見む 万葉集 巻16−3837 雨が降らないかなぁ。蓮の葉にたまった水が玉のようになるのを見たいものです くすりの博物館 万葉集の植物

槻・つき (けやき)

(撮影場所 大船フラワーセンター) 天飛(あまと)ぶや 軽(かる)の社(やしろ)の 斎槻(いはいつき) 幾世(いくよ)まであらむ 隠妻(こもりづま)そも 万葉集 巻11−2656 あの軽の社の古木の槻のように、いつまで人目を憚(はばか)らなければなら…

つづら (ツヅラフジ)

撮影場所 小石川植物園 上毛野(かみつけの) 安蘇山葛(あそやまつづら) 野を広み 延(は)いにしものを 何(あぜ)か絶えせむ 万葉集 巻14−3434 上毛野(群馬県)の安蘇の野に広がるツヅラフジのように、わたしのあなたへの気持ちも、どんどん広が…

ときじきふじ (なつふじ)

撮影場所 自宅付近 我が屋前(やど)の 時じき藤の めづらしく 今も見てしか 妹が笑容(えまひ)を 大伴家持 万葉集 巻8−1627 我が家の庭先の季節はずれに咲いた藤の花のように、めずらしく愛らしいあなたの笑顔が見たくなりました。

このてがしは

撮影場所 小石川植物園 奈良山の 児手柏(このてがしは)の 両面(ふたおも)に かにもかくにも 佞人(ねじけひと)の徒(とも) 万葉集 巻 16−3836 消奈(せな)行文太夫(まえつきみ) 奈良山の児手柏が表裏に違いがあるように、あれにつけこれにつけ…

葵・あふひ (あおい)

フユアオイ 撮影場所 市川市万葉植物園 タチアオイ 撮影場所 小石川植物園梨(なし)棗(なつめ) 黍(きみ)に粟つぎ はう葛の 後も逢はむと 葵(あふひ)花咲く 万葉集 巻16−3834 梨のあとになつめが実り、キビの次に粟が実るように、君にずっと逢ってい…

ちち (イヌビワ)

撮影場所 小石川植物園 大君の 任(ま)けのまにまに 島守に わが立ちくれば ははそ葉の 母の命は み裳の裾 つみ挙(あ)げ掻き撫で ちちの実の 父の命は 托綱(たくづの)の 白鬚(しらひげ)の上ゆ 涙垂り 嘆き宣賜(のた)ばく 鹿児(かご)じもの ただ独…

貝母 (バイモ)

撮影場所 小石川植物園 時時(ときどき)の 花は咲けども 何すれそ 母(はは)とふ花の 咲き出(で)来(こ)ずけむ 丈部真麿(はせつかべのまろ) 巻20−4323 その時節時節の花は咲くけれども、どうして母という花が咲き出てこなかったのだろう。 くすりの博物…

つるはみ(クヌギ)

撮影場所 横須賀しょうぶ園 紅(くれない)は 移ろふものそ 橡(つるはみ)の 馴れにし衣(きぬ)に なほ若(し)かめやも 大伴家持 巻18−4109 美しい紅花染は、すぐに色褪(あ)せてしまうものです。ツルバミで染めた地味な衣(連れ添った妻)には及び…

くれなゐ(ベニバナ)

撮影場所 自宅 外(よそ)のみに 見つつ恋ひせむ 紅(くれなゐ)の 末摘花の 色に出でずとも 巻10−1993 遠くから見て恋い慕っていましょう。紅の末摘花のように、色や顔に出さなくても。 くすりの博物館 万葉集の植物

 合歓木・ねぶ(ネムノキ)

この写真はsikihuukeiさんから拝借しました 昼は咲き 夜は恋ひ寝(ぬ)る 合歓木(ねぶ)の花 君のみ見めや 戯奴(わけ)さへに見よ 紀女郎(きのいらつめ) 万葉集 巻8−1461 昼は花を開き、夜は慕い合うように花びらを閉じて眠るネムの花を、私だけ見て…

しりくさ (サンカクイ)

撮影場所 不忍池 湖葦(みなとあし)に 交(まじ)れる草の 知草(しりくさ)の 人みな知りぬ わが下思(おもい 巻11−2468 河口の葦に混じっているシリクサではないけれど、私のひそかな恋心を、皆に知られてしまいました。

おほゐぐさ (ふとい)

撮影場所 大船フラワーセンター 上毛野(かみつけの) 伊奈良(いなら)の沼の 大藺草(おほゐぐさ) 外に見しよは 今こそまされ 巻14−3417 上毛野(かみつけ)の、伊奈良(いなら)の沼に生えているフトイのように、よそながら見ていた時よりも、逢っ…

蔦・つた (ていかかずら)

撮影場所 自宅付近 石綱(いはつな)の また変若(を)ちかへり あをによし 奈良の都を また見なむかも 巻6−1046 また若返って、奈良の都を再び見ることができるだろうか *石綱とはイハツタ(岩に這うツタ)のこと くすりの博物館 万葉集の植物

杜若・かきつはた

撮影場所 箱根 湿生花園 かきつはた 衣に摺り付け 丈夫(ますらを)の きそひ狩りする 月は来にけり 大伴家持 巻17−3921 カキツバタの美しい色を着物に摺りつけ、丈夫(ますらを)たちが狩りの衣装を整えて、薬狩りをする月がいよいよやって来ました。…

はなかつみ (ノハナショウブ)

撮影場所 湿生花園 をみなへし 咲く沢に生ふる 花勝見(はなかつみ) かつても知らぬ 恋もするかも 中臣郎女 巻4−675 かつて一度も知らない恋をしていることです、私は。 (・・・花勝見までは「かつて」を引き出す序) 原種ノハナショウブ 撮影場所 大…

菖蒲草・あやめぐさ (しょうぶ)

撮影場所 横須賀しょうぶ園 霍公鳥(ほととぎす) 待てど来鳴かず 菖蒲草(あやめぐさ) 玉に貫(ぬ)く日を いまだ遠みか 大伴家持 巻8−1490 ホトトギスが鳴くのを待っているけれど、まだ来て鳴かない。そうか! 菖蒲で薬玉を作る五月の節句まで、まだ日…

ちさ (エゴノキ)

撮影場所 箱根仙石原 ・・・世の人の 立つる言立(ことだて) ちさの花 咲ける盛りに はしきよし その妻の子と ・・・ 大伴家持 巻18−4106 ・・・世間の噂では、ちさの花が美しく咲いているその時に、いとしい妻と・・・ 撮影場所 鎌倉 若宮大路 エゴノ…

ゆずるは (ゆずりは)

撮影場所 上野 不忍池畔 吉野の宮に幸(いでま)しし時、弓削皇子、額田王に贈る歌一首古(いにし)へに 恋ふる鳥かも 弓絃葉(ゆずるは)の 御井(みい)の上より 鳴き渡り行く 弓削皇子 巻2−111 あの鳥は、(天武天皇がおいでの頃の)昔を恋い慕ってい…

小楢(こなら)

撮影場所 大船フラワーセンター下毛野(しもつけの) 美可母(みかも)の山の 小楢(こなら)のす ま麗(ぐは)し児ろは 誰(た)が笥(け)か持たむ 巻14−3424下毛野の、みかもの山の小楢のように可愛らしく美しい子は、いったい誰の笥(食器)を持つ…

うまら (のいばら)

撮影場所 自宅付近 道の辺の 荊(うまら)の末(うれ)に 這(は)ほ豆の からまる君を 別(はか)れか行かむ 丈部鳥(はせつかべのとり) 巻20−4352 やぶまめ 撮影場所 自然教育園道のほとりの荊の先に這いつく豆の蔓のように、からみつくお前を、ふり…

つつじ

撮影場所 沢渡温泉 水伝う 磯の浦廻(うらみ)の 石上(いは)つつじ 茂(も)く開(さ)く道を また見なむかも 日並皇子(ひなみしのみこ)の舎人(とねり) 巻2−185 水際の岩に、ツツジが盛んに咲いている道を、また見ることがあるだろうか。 撮影場所…

卯の花 (うつぎ)

撮影場所 大楠山の麓 卯の花の 咲き散る岳(おか)ゆ 霍公鳥(ほととぎす) 鳴きてさ渡る 君は聞きつや 巻10− 1976 卯の花の咲き散る岡を、ホトトギスが鳴いて行きます。あなたはお聞きになりましたか。 くすりの博物館 万葉集の植物

都萬麻・つまま (たぶのき)

撮影場所 くりはま花の国 磯の上の 都萬麻(つまま)を見れば 根を延(は)へて 年深からし 神(かむ)さびにけり 大伴家持 巻19−4159 磯のほとりのツママを見ると、根を長く伸ばしていて、年月を経ているらしい。神々しい様子をしていることよ。

やまあい

撮影場所 小石川植物園 級(しな)照る 片足羽(かたしは)川の さ丹塗(にぬ)りの 大橋の上ゆ 紅(くれない)の 赤裳(あかも)裾(すそ)引き 山藍(やまあい)もち 摺(す)れる衣着て ただひとり い渡らす児は 若草の 夫(つま)かあるらむ 橿(かし)の…