やまあい


                               撮影場所 小石川植物園 

級(しな)照る 片足羽(かたしは)川の さ丹塗(にぬ)りの 大橋の上ゆ 紅(くれない)の 赤裳(あかも)裾(すそ)引き 山藍(やまあい)もち 摺(す)れる衣着て ただひとり い渡らす児は  若草の 夫(つま)かあるらむ 橿(かし)の実の 独りか寝らむ  問はまくの 欲しき我妹(わぎも)が 家の知らなく


                     高橋虫麻呂  巻9−1742



足羽川の赤い橋の上を、紅の赤裳の裾を引いて、山藍で摺り染めにした衣を着て、ただ一人渡って行く子は、夫があるのだろうか。独り寝るのだろうか。聞いてみたいけれど、家は何処なのだろうか。