あざさ (アサザ)


                           撮影場所 大船フラワーセンター


うち日さつ 三宅の原ゆ 直土(ひたつち)に 足踏(ふ)み貫(ぬ)き 夏草を 腰になづみ 如何(いか)なるや 人の子ゆゑそ 通はすも吾子(あご) 諾(うべ)な諾(うべ)な 母は知らじ 諾(うべ)な諾(うべ)な 父は知らじ 蜷(みな)の腸(わた) か黒(ぐろ)き髪に 真木綿(まゆふ)以(も)ち あざさ結(ゆ)ひ垂(た)れ 大和(やまと)の 黄楊(つげ)の小櫛(をぐし)を 抑(おさ)へ挿(さ)す 刺細(さすたへ)の子 それそわが妻     

                              万葉集 巻13−3295



三宅の原を、素足で地べたを踏みつけ、腰にまつわる夏草をかきわけかきわけ、どんな子の為にそんなにしてまでして通っておいでなのだね、わが子よ。(以上父母の問い)
そうお尋ねになるのは誠にごもっともです。母さんも父さんもご存知ないでしょう。黒い髪に、真木綿でもってアサザを結んで垂らし、大和でできる黄楊の小櫛を挿す可愛い子。それが私の妻です。(以上子の答え)





                            撮影場所 箱根 湿生花園