臣の木・おみのき (樅・もみ)


                     撮影場所 春日大社 万葉植物園



山部宿祢赤人(やまべのすくねあかひと)、伊予の温泉(ゆ)に至りて作る歌

皇神祖(すめろぎ)の 神の命(みこと)の 敷きいます 国のことごと  湯はしも 多(さは)にあれども 島山の 宜(よろ)しき国と こごしかも 伊豫(いよ)の高嶺(たかね)の  射狭庭(いざには)の 岡に立たして 歌思ひ 辭(こと)思はしし  み湯の上(へ)の 樹群(こむら)を見れば 臣(おみ)の木も 生(お)い継ぎにけり  鳴く鳥の 声も変らず 遠き代に 神さびゆかむ 行幸處(いでましどころ)
                    山部赤人 万葉集 巻3−322



天皇の祖先から、ずっと治めておいでになる国ことごとくに、温泉は沢山あるが、島や山のよろしい国であるとして、(天皇が)伊予の高嶺の射狭庭(いさにわ)の岡にお立ちになって、歌を考え、言葉をお練りになった、この温泉のほとりの森を見ると、(今も)臣の木が生い茂っている。鳴く鳥の声も変っていない。未来まで神々しい姿を保って行く事であろう、この行幸の地である。


伊予の湯・道後温泉


「射狭庭の岡」は今の伊佐爾波神社がある所だという


伊佐爾波神社


伊佐爾波神社から