2009-01-01から1年間の記事一覧

鴛鴦・おし (オシドリ)

鴛鴦(をし)の住む 君がこの山斎(しま) 今日見れば 馬酔木の花も 咲きにけるかも 御方王(みかたのおおきみ) 万葉集 巻20−4511 オシドリの住む、あなたのこの庭を今日見ますと、馬酔木の花さえ咲いています。 *中臣清麿邸での宴の席で詠まれた『…

春霞 (はるがすみ)

後(おく)れ居て われはや恋ひむ 春霞 たなびく山を 君が越えいなば 万葉集 巻9−1771 後に残こされて、私は恋しく思うことでしょうか。春霞がたなびく山を、あなたが越えて行かれたならば・・・ *この一首は、大神大夫(おおみわのまえつきみ)が、長…

田児の浦 (たごのうら)

三保の松原から見た田児の浦方面の海岸線 反歌 田児(たご)の浦ゆ うち出(い)でて見れば 真白にそ 不盡の高嶺に 雪は降りける 山部宿禰赤人 万葉集 巻3−318 田児の浦を通って眺望のきく所へ出て見ますと、真っ白に、富士の高嶺に雪が積っていました。…

不盡の山 (ふじのやま)

山部宿禰赤人、不盡山(ふじのやま)を望(みさ)くる歌一首天地(あめつち)の 分(わか)れし時ゆ 神(かむ)さびて 高く貴き 駿河(するが)なる 布士(ふじ)の高嶺(たかね)を 天(あま)の原 振(ふ)り放(さ)け見れば 渡る日の 影も隠(かく)らひ …

梅 (熱海梅園)

萬代(よろづよ)に 年は来経(きふ)とも 梅の花 絶ゆることなく 咲き渡るべし 筑前介佐氏子首(こびと) 万葉集 巻5−830 万代までも年は毎年やってきては過ぎ去って行くけれど、梅の花は絶えることなく、きっと咲き続けて行くことでしょう。 月日はめ…

世間(よのなか)を 憂(う)しとやさしと 思へども 飛び立ちかねつ 鳥にしあらねば 山上憶良 万葉集 巻5−893 この世の中はつらく、身の細るような思いもすることだけれど、何処かへ飛んで行ってしまうこともできない。鳥ではないのですから。 *「やさ…

さす竹の 節隠(よごも)りてあれ わが背子が 吾許(がり)し来ずは われ恋ひめやも 万葉集 巻11−2773 どうか竹の節に(家に)こもっていて下さい。あなたが私のところに来なければ、私はこんなに恋に苦しみはしないのですから。 *『いつもいつも逢っ…

一つ松 幾代か経ぬる 吹く風の 音の清きは 年深みかも 市原王 万葉集 巻6−1042 この一株(ひともと)の松は、幾代を経ていることでしょうか。松を吹く風の音が清らかなのは、久しい年を経ているからかもしれません。 松は、山地に多いアカマツと、海辺…

新年のご挨拶

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます