潮早み 磯廻(いそみ)に居れば 漁(あさり)する 海人とや見らむ 旅行くわれを


    万葉集 巻7ー1234


潮の流れが早いので、磯辺にいると漁をする海人と人々が見るだろうか、旅をしている私を。




城ケ島のハチジョウススキを見ての帰りは磯に下りました。
歩きながらフッと妙な思い出が脳裏をかすめ・・・
二年ほど前のある夜、ツレが急に具合が悪くなり、救急救命センターに運ばれた時のこと。
患者が手当てを受けている間、待合所で待っていると、城ケ島のホテルの浴衣にサンダル姿の男性が運ばれてきました。
聞けば磯を散策中に転んで鼻の骨を折ってしまったとか。
夜分のこととは言え、それほどお年を召しているようにも見えないけれど何でまた?
けれど、久しぶりに歩いてみて、此処をホテルのサンダルで歩く危険を実感したのでした。
波に浸食されされデコボコした岩礁は歩き難く、砂地にも足をとられます。
以前ならデコボコなど気にすることもなくルンルン歩いていたのに今は少し怖い。
やっぱりこれは老いだわね。 (ーー;)
舗装してない道は若い頃から苦手とするツレは、止せばいいのに馬の背洞門の大きな岩を下りようとして立ち往生。
座ってお尻で滑り下りちゃえば、など云う私に、手伝いましょうか? と頼もしい若者が助け船を出して下さって、何とか無事に磯に着地できたのでした。
『いや、こんな所で遭難してね。お蔭でありがとう』とオジイサンは照れ隠しのお礼云ってました。やれやれ。


馬の背洞門





写した時は全く気づかなかったのですが、釣りする人の隣にアオサギがいるように見えませんか?



              


余談ですが・・・11月2日、国立能楽堂の中庭です。


今年の「友枝会」の番組は
 
 能 「蝉丸」  シテ・友枝雄人 シテツレ・友枝真也 ワキ・殿田謙吉 アイ・野村万蔵
            笛 一噌隆之  小鼓 観世新九郎  大鼓 亀井広忠  

 狂言 「八句連歌」  シテ・野村萬 アド・野村万蔵 

 能 「紅葉狩」  シテ・友枝昭世 ワキ・宝生閑 アイ・野村太一郎
            笛 一噌仙幸  小鼓 曽和正博  大鼓 国川純  太鼓 観世元伯


中庭の楓の梢が漸く色づきはじめ、実もほんのり赤らんでおりました。