あしひきの 山の黄葉(もみちば) 今夜(こよひ)もか 浮かびゆくらむ 山川の瀬に
万葉集 巻8−1587 大伴宿禰書持(おおとものすくねふみもち)
山のもみじは、今夜も浮かんで流れて行くのでしょうか、山川の瀬を。
流れる川の水面に滲む紅色が見られるかしら、と箱根の蛇骨川上流にある千条の滝(ちすじのたき)を訪ねました。
あいにく時期が早かったようで、この辺りの落葉樹は、すっかり葉を落とした木もあれば、未だ緑に茂った木も多く、のっぽのモミジの遠い梢の、よく日の当たるところだけ微かに紅く輝いているのでした。
近頃、箱根は猪が増え、何処にでも出没して危険なので注意するよう広報のアナウンスが流れ、「急に現れて突進してきたら困るな」と、おずおず行ってみましたが、土曜日とあって散策の方々やカメラ教室のグループの皆さんが賑やかにお過ごしでしたから、こう大勢の人間がいては、流石のイノシシさんも出て来にくかったようです。
↓紅く染まり始めた梢
万葉集に詠まれた「もみち」の殆どが「黄葉」と書かれています。
(この度の歌の万葉仮名は 足引乃 山之黄葉 今夜毛加 浮去良武 山河之瀬尒)
ならば、と黄色に色づいた木の葉を並べてみました。
小涌谷駅を出発する箱根登山電車新型車両 「アレグラ」