葛・くず



真葛原(まくずはら) なびく秋風 吹くごとに 阿太(あだ)の大野の 萩の花散る


                                万葉集 巻10−2096



葛の原をなびかせる秋風が吹くたびに、阿太の広い野の萩の花が散ります



阿太は、現在の奈良県五条市といわれています。


古くから、日本人の暮らしに深く関わってきた葛。
花は「酒を消す」といわれて、煎じて飲めば二日酔いに効果があるそうです。
茎は、編んで籠や綱など生活用品になり、繊維を織った葛布で、昔は衣服を作りました。
根からは澱粉がとれ、葛粉になります。
葛粉は、発汗・解熱・血行促進の作用があるので風邪薬として用い
また良質の澱粉は、効率よく栄養を摂取するのに最適な食材であるといわれています。
そういえば子供の頃、風邪をひいて食が進まないとき
母が「くず湯」を作ってくれたことを想い出します。
懐かしくて、寒い季節には今でも時々いただきます。



今を盛りと咲いている近所の葛の花を写しました。
今年の花は心なし色が濃く感じられます。


大きなアカメガシワの木を、葛がすっぽり覆ってしまいました


ピンボケのクローズアップ葛の花




ちょっと可愛らしい萩の花。葉も花も丸っこくて小さくて、山萩とは違うようです。