秋草



秋草に 置く白露の 飽(あ)かずのみ 相見るものを 月をし待たむ


                          大伴家持 万葉集 巻20ー4312




秋草に置く白露のように、はかない逢う瀬でいつも飽き足らないけれど
また来年の7月を待つことにしましょう



 この歌は大伴家持の『七夕の歌八首』の中の一首です。
したがって「飽かずのみ 相見るもの」とは、彦星と織姫でしょうか?


旧暦の7月7日にあたる8月26日に、京都の冷泉家で、伝統の七夕行事
『乞巧奠(きっこうてん)』が行われたというニュースを見ました。
現在は夏の行事になっていますが、七夕は実は秋の行事なのですね。
今の7月7日ですと梅雨の頃ですから、天の川、彦星、織女星は余り見えません。
8月末ならお天気も安定し(台風がこなければ)、空気も澄んで
天の川が見られる確率は高いです。
現代のような酷い大気汚染の無かった万葉時代の人々は
さぞ美しい星空を仰いだことでしょう。


日本の伝統行事は、七草粥にしても、桃の節句端午の節句にしても
旧暦で行うほうが季節感がピッタリします。


秋草を写したものを集めました。
一枚目の写真には、オミナエシ、ワレモコウ、ツリガネニンジン
カワラナデシコなど乱れ咲いています。



白露を置くアサマフウロ


エゾリンドウ                    赤く染まり始めたアカバナの葉
 


オミナエシ


ワレモコウ