秋の田




秋の田の 穂向きの寄れる こと寄りに 君に寄りなな 事痛(こちた)かりとも

                      
万葉集 巻2−114  但馬皇女




秋の田の稲穂の向きが同じ方向に寄っているように、ただひた向きにあなたに寄り添っていたい。
たとえ世間の噂が酷くても。


 但馬皇女(たじまのひめみこ)が穂積皇子(ほずみのみこ)への恋心を詠んだ歌です。






先月行った畑毛温泉の田園風景です。此処も実りの時を迎えていました。
修善寺に行くと、名産としてレストランのメニューに載っていたり、お土産品にもなっている黒米が
畑毛の田んぼでも一区画栽培されていて、遠くから見るとパッチワークのように見えます。
普通のお米より成長が遅いのか、黒米の穂先は未だ真っ直ぐ天に向いており
隣の稔った稲穂が寄り添うように首を垂れているのでした。



この湯治場はいつも静かでゆったりと時が流れ、滞在客は静養、保養目的で穏やかに過ごす方が多いのですが
この度は初めて中国からのツアー御一行様と一緒になりました。
ついにこんな湯治場にまで・・・と思いましたが、考えてみると、近くの韮山反射炉世界遺産に登録されたので
その影響かも知れません。
寝る前にもうひとっ風呂、と浴場に行くと、浴室は中国語がわ〜んと響いてその賑やかなこと。
皆さん、温泉がお好きなようです。日本式入浴法も心得ていらしてマナーもよろしい。
ただ立って髪を洗う人が多いかな。これが中国式洗髪スタイルなのかも。
お互い言葉が通じないので、目が合えばニッと微笑み合う程の国際交流。
日本の旅を楽しんで良い思い出が沢山出来ますようにと心から願ったことでした。



田んぼの縁に咲いていたオモダカとサクラタデ
 


イタドリの葉に保護色な蛙がひっそりと。


栗が! 沢山落ちていたので拾って帰って栗ご飯にしました。


この柿は甘いのかな? 渋いのかな?


夕方の富士山