梓・あづさ(あずさ)


梓弓(あづさゆみ) 引かばまにまに 依(よ)らめど 後の心を 知りかてぬかも


石川郎女(いしかはのいらつめ)

万葉集 巻2−98



梓弓を引くように私の心をを引いて誘うならば、あなたの意のままになりますけれど、その後のあなたのお心がわかりません。






この歌は、以前載せた「まゆみ」の歌に続く一首です。
は別名「ミズメ」「ヨグソミネバリ」で、この木で作った弓を梓弓といいます。
梓弓は、張る、引く、射る、寄る、本、末、音などにかかる枕詞になっています。





梓の木を見たことがありませんでしたので、東京へ出かけた序でに、板橋区の赤塚植物園へ行って見ました。万葉植物と薬用植物を集めた一画に、まだ若い梓の木が一本、すっくりと立っておりました。
幹はちょっと見には桜に似ていますが、こうして写真でよく見ますと、独特の木肌模様が分ります。
葉は細長いハートの形をしています。
今度山野で出会ったら見分けられるかなぁ・・・?






赤塚植物園とその周辺に、ニリンソウの群生地がありました。『板橋区の花』です。