箱根の紅葉



甘酒茶屋に行った日、元箱根から杉並木を通って箱根町まで歩く道中
成川美術館と箱根の関所周辺で中々美しい鮮やかな紅葉が見られました。
路線バスの車窓からは、お玉ヶ池背後の二子山の山肌がまさに織る錦。
小涌谷の蓬莱園でも、真っ赤に燃えるモミジが陽にキラキラ輝いてとても綺麗でした。
来年また見に行けるなら、お玉ヶ池と蓬莱園にしようと思います。
今頃は、塔ノ沢、湯本辺りまで紅葉が下りて来ていることでしょうか。




富士山は雲の中




旧東海道箱根杉並木


恩賜公園から箱根関所へ




富士屋ホテルの庭園の紅葉もそろそろ見頃を迎えておりました。
朝、メインダイニングよりの眺め



水車小屋の近くで



 



西洋館の廊下から


明星ヶ岳

甘酒茶屋



箱根で紅葉を見がてら久しぶりに甘酒茶屋まで行ってみようか・・・
そんな相談をして立ち寄った甘酒茶屋。ここで憩う現代の旅人たちは、随分と国際色豊かな顔ぶれなのでした。
日本人でも甘酒はちょっと苦手な人が多いのに、外国の皆さんは甘酒を綺麗に飲み干しておられます。
案外お口に合うのかも〜ですね〜♪


この茶屋は四十数年前火事で全焼し、今の建物はその後再建されたものですが
立派な柱や梁は囲炉裏の煙に燻され黒々として、十分に昔懐かしい風情です。
前回来た時より、お店の中が明るく広くなったように感じました


注文はカウンターで。空いた席に適当に座って待っていると、じきに○○さま〜と大声で呼んで持ってきてくれます。
一時間に上下二本ずつの路線バスが停まる度、大勢の乗客が下車してカウンターは行列になっていました。
私共は行列がひと段落した頃、甘酒二つに胡麻とうぐいすの力持ち、じゃなくて力餅 (^^ゞ、を注文したのですが
運ばれてきたのは甘酒一つに胡麻のお餅が二皿。注文の仕方が悪かったのかなぁ?
お餅はともかく、甘酒は二つ欲しいな。
追加四百円になります〜と係の方がニコニコしながらもう一つ持ってきてくれました。
ふ〜ん、以前よりお客あしらい良くなったんじゃない?
熱々で自然の甘みで美味しい甘酒でした。















茶屋の裏手の旧街道。出来ればこの道を元箱根まで歩きたかった!


円覚寺 舎利殿



11月3日〜5日、宝物風入れで舎利殿が特別公開されましたので拝観して参りました。
鎌倉五山二位の円覚寺は、弘安五年(1282)の創建、開基は執権北条時宗、開山は無学祖元(仏光国師)です。
深い緑に包まれた円覚寺は、中世鎌倉の面影が強く感じられ、谷戸の奥行きのある広い寺域に総門、山門、佛殿、方丈が並び、十数もの禅寺らしい端正な塔頭など、多くの建物が見られ壮観ですが、実は数度の火災に見舞われ、関東大震災でも被災し、今ある建物は、室町から江戸時代、そして昭和に再建復元されたもので、創建当時の伽藍はひとつも残っていないということです。




舎利殿 国宝

円覚寺舎利殿には、仏牙舎利(ぶつげしゃり)と尊崇されるお釈迦様の歯牙をおまつりしております。
その由来は、将軍源実朝公が宋の時代、中国 能仁寺から請来したものです。この舎利殿は、鎌倉にあった大平寺(尼寺、廃寺)の佛殿(鎌倉時代末〜室町初期に再建)を移築したもので、中国、南宋時代の建築様式に学んだ禅宗様建築の代表的な遺構です。関東大震災に倒壊しましたが、昭和4年に復元しました。
内部の正面に佛舎利をおまつりする宮殿が安置され、その前に鎌倉彫の須弥壇があり、観音菩薩地蔵菩薩がまつられています。・・・

屋根は杮葺きで、軒先が反り上がってシャープな印象ですが、わが家にある土門拳さんの古い写真集を見ますと、裳階は杮葺ですが屋根は茅葺で、軒先の反りも左程ありません。現在の姿になる前は、如何にも鎌倉らしい鄙びた、素朴な外観の建物だったようです。
「繊細な波型の弓欄間やアーチ型の花頭窓、内部中央の鏡天井などが禅寺の特徴をよくあらわしている」と解説する音声が繰り返し流れておりました。



舎利殿







この階段を上ると弁天堂、見晴らしの良い茶店、鐘楼があります。



洪鐘(おおがね)  国宝 
正安三年(1301)鋳造。
鐘楼も撞木も相当傷んでいます。
除夜の鐘は撞けるのかな?






















サネカズラは綺麗な赤い実になりました。

さな蔓 (サネカズラ、美男蔓)




木綿裹(ゆふつつ)み 白月山の さな葛 後もかならず 逢はむとそ思ふ


    
或る本の歌に云はく、絶えむと妹をわが思はなくに


 万葉集 巻12−3073



(白月山のさな蔓のように)後にも必ずあなたと逢いたいと思います。


木綿裹み(一に云はく、畳)。
木綿裹は枕詞。木綿の包みは白いので白にかかる。
白月山は所在不明。
・・・さな蔓まで、逢ふを導く序。蔓は分かれてまた先で合う。






秋の長雨も小休止してピーカンの木曜日、久しぶりに鎌倉散歩に出かけました。
家を出るときは海蔵寺に行くつもりでしたが、駅の券売機の前で気が変わり、北鎌倉まで切符を購入。
今、観光の端境期で観光客も少なそうなので円覚寺を訪ねることにしました。6年ぶりです。
案の定人は少なく、写生をしている中学生のグループの他には、欧米系のお顔立ちの個人観光らしい方がチラホラ。
ゆっくりと境内を廻って、禅寺らしい静かで清々しい空気を感じられたでしょうか。


一番奥の塔頭、黄梅院のお庭の低い竹垣にサネカズラの実が赤く色づき始めていたので写しました。
日当たりの影響なのか、紫色の実もあって珍しく思いました。これから赤く変わっていくのかなぁ?




黄梅院 観音堂  






朽ちかけた小さな木仏。
十一面千手観音のようです。






帰り道、夕やみ迫る松の木に白い月



暮れかけた亀ヶ谷坂切通しを越え鎌倉まで歩き、遅くなったから食事をして帰ろう・・・
勝烈庵で「鎌倉五山定食」を食べました。
止せばいいのにカキフライ一つ追加して貰って綺麗に平らげ、翌日も胃もたれしてました。

散歩



ある日の午後、久里浜緑地に散歩に行かない?とツレが誘いますので出かけました。
JR久里浜駅から商店街を通り抜ける、いつものコースを歩いていてフト振り返ると一緒に歩いている筈の夫がいません。ありゃ、また迷子だ、と駅の方に戻ってみても姿なし。杖を頼りに下ばかり見て歩くので、多分、商店街の十字路を右に曲がるべきを、真っ直ぐ行ってしまったようです。
いま何処? とLINEを送っても、携帯電話しても応答なし。きっと見覚えのない道に出てしまってウロウロしてるんだわ。こうなったら仕方がない。絶対後戻りをしない人なので、人さまに道を尋ねながらでも何とか公園に辿り着くはず。
全くもう! とプリプリしながら私は先に公園に行って待つこと40分。コツコツ杖を鳴らし、何事もなかったかのようにシレ〜っと夫登場です。
谷戸の公園は日の暮れが早く、広い公園を廻っていると暗くなりそうなので、コスモス畑を一回りしただけで帰ってきたのでした。








 



ミゾソバ


臭木




今年の十五夜


三日後。 月齢 16.9

アサギマダラ



先日訪れた湿生花園の、春には水芭蕉が咲く林の中に一頭のアサギマダラを見ました。
この季節は此処まで入って来る人は少なく今は静かな場所で、もともと人に対する警戒心も余り持たない蝶らしく
ヒヨドリバナを移動しながらゆっくり吸蜜する姿を写すことができました。
あの、ステンドグラスのような翅の模様の浅葱色に光が当たると透き通るようで、見惚れてしまいます。


箱根でアサギマダラを見かけたのは二度目、最初は鎌倉古道「湯坂道」でやはり9月の中頃でした。
夏、駒ヶ岳頂上付近に沢山いる、と云う噂を聞いたことがあって、一度見に行こうと思いながらつい行かずじまいでしたが、
湯坂道で出会って、やっぱり箱根に来るんだアサギマダラ、と妙に感激したことでした。
近頃では、三浦半島でも鎌倉でも飛ぶ姿を見ることがありますから、箱根にいて当然ですけれども。


そう云えば過去、アサギマダラには幾度か出会っていますが、翅が傷んだ個体を見たことがありません。
長距離を渡りする蝶なのに何故いつも美しい翅を保っているのでしょう? 偶々なのでしょうか?














こちらはイチモンジチョウと思い写したのですが、何か違うな、と調べたらサカハチチョウのようです。初めて見ました。



アカバナ 
 


サクラタデ


アオフジバカマにイチモンジセセリ




アケボノソウ


秋の野で


9月に入っても暑い日が続き家に籠りがちでしたが、少しは歩かなければ、と先週、箱根湿生花園に出かけました。
宮ノ下辺りでは蒸し暑く、強羅はやや蒸すかな? 仙石原まで行きますと空気はサラリと爽やかな風が渡って通ります。
湿生花園の秋の花は、サギソウ、女郎花が終盤、ワレモコウ、アサマフウロ、サクラタデ、サワギキョウ、アケボノソウなどが見頃でした。
鮮やかな青のエゾリンドウもちらほら、向かいの台のススキの草原は白く輝いていましたから、穂が出揃ったのかもしれません。
そんな中に、万葉集に詠まれた草花も幾つか目に留まりましたので写してきました。
曼珠沙華、ススキは富士屋ホテルの庭で写したものです。、



うけら (おけら)   写真の花は「大花オケラ」で中国原産。日本に自生する朮(おけら)とは色も大きさも違いますね。

わが背子を何(あ)どかも言はむ武蔵野のうけらが花の時無きものを   巻14−3379



思ひ草 (なんばんぎせる)

道の邊の尾花が下の思ひ草今さらになど物か思はむ   巻10−2270



玉掃 タマバハキ (こうやぼうき)   これはナガバノコウヤボウキかも・・・?

玉掃刈り來(こ)鎌麿(かままろ)室(むろ)の樹と棗が本(もと)をかき掃かむため   巻16−3830



をみなへし (女郎花)

手に取れば袖さへにほふ女郎花この白露に散らまく惜しも   巻10−2115





この夕(ゆふべ)秋風吹きぬ白露にあらそふ萩の明日咲かむ見む   巻10−2102



撫子  ナデシコ

野邊見れば撫子の花咲きにけりわが待つ秋は近づくらしも   巻10−1972



壹師 イチシ  (彼岸花

路の邊の壹師(いちし)の花のいちしろく人皆知りぬわが戀妻を   巻11−2480

いちしろく :  顕著に、はっきりと、目立って  



尾花 (すすき)

わが屋戸の尾花おし靡(な)べ置く露に手觸れ吾妹子散らまくも見む   巻10−2172