朝日新聞 2012年12月14日 金曜日 『声』欄から
三つの光景が安全を選ぶ原点 作家 赤川 次郎 (東京都港区 64)
三つの光景を思い出そう。第一は昨年3月11日、東北地方を襲った大津波の人間の想像力を遥かに超えた凄まじい破壊力。
第二は福島第一原発の原子炉建屋が爆発し、屋根が吹っ飛び白煙が上がった瞬間の身も凍る恐怖。第三はその原発を「安全だ」と言い続けてきた専門家たちの、現実の事故を前になすすべもなく、ただ、呆然自失していた姿。
その後の言い訳や責任転嫁を消去すれば、その三つの現実こそが私たちの安全を選ぶ原点である。狭い地震大国に原発を作り続けてきた政党が政権を取れば、原発を再稼働させる可能性が高い。首都直下型地震も南海トラフの地震も、すべてはこれからなのだ。必ず近い将来、日本はまた大地震を経験する。
次の大地震が起きればすべての原発が無傷でいられるなどと信じる人はいないだろう。再び原発が大事故を起こせば、どれだけの国土が汚染されるか。自衛隊を軍隊にすれば、放射能を防げるとでも言うのだろうか?
再び原発が爆発したら、子や孫までも放射能の恐怖にさらされるのだ。有力な政党のスローガンは「日本を、取り戻す」だそうだが、ならば福島の人々に元通りの故郷を取り戻させるのが先決だろう。
国の行方、原発対応で決まる 会社役員 清水 啓治 (東京都練馬区 65)
衆院選の投開票日が迫ってきました。憲法の文言を「翻訳調駄文」などと侮る政治家がいる中、憲法が今、危機を迎えようとしています。自主憲法法制定を党是としたりかいけんを目指したりする政党が優勢で、選挙後そうした勢力が結集すれば、改憲は現実的な日程に載ってくるのではと危惧しています。
今回の選挙の争点は消費増税、TPPなどと多岐にわたりますが、「脱原発」「原発継続」のいずれを選択するかが、この国の将来を左右する大きな決め手になると思います。原発問題はシングルイシューとは言えず、あらゆる問題と深く関わってくるからです。
改憲して軍備が強化された中央集権型の国家の下、原発を継続して右肩上がりの経済成長を追求するのか。それとも現憲法下で原発をやめて新しいエネルギーを創出し、それに見合う産業と雇用を拡大し、地域分散ネットワーク型のゆるやかな絆で結ばれた社会を目指すのか。それが今回の選挙で問われている最大のテーマだと思います。
私は、国際紛争を武力で解決せず、市民的自由と人権を保障した現憲法を孫子の代に残してやりたいと切に願っています。
12月16日
衆議院選挙投票の後ショッピングモールへ行きましたら
高校生が吹奏楽の演奏をしていましたので携帯で写してみました。