つぎね(ひとりしずか)


                               撮影場所 大船フラワーセンター


つぎねふ 山城道(やましろじ)を 他夫(ひとつま)の 馬より行くに 己夫(おのつま)し 歩(かち)より行けば 見るごとに 哭(ね)のみし泣かゆ そこ思(も)うに 心し痛し たらちねの 母が形見と わが持てる 真澄鏡(まそみかがみ)に 蜻蛉領巾(あきづひれ) 負ひ並み持ちて 馬買へ我が背

                          巻13−3314


つぎねの咲く山城への道を、よその夫は馬で行くのに、私の夫は歩いて行くので、それを見ると泣いてしまうし、それを思うと心が痛む。母の形見のよく澄んだ鏡と、とんぼの羽のように薄い美しい領巾(ひれ)を持っていって、それで馬をお買いなさい。アナタ。




*”つぎね”は ふたりしずか という説もあるらしい。