石田の杜 (いはたのもり)




山科の 石田(いはた)の小野の 柞原(ははそはら) 見つつか君が 山道(やまじ)越ゆらむ


   藤原宇合  万葉集 巻9-1730



山科の石田の野の柞(ははそ)の原を見ながら、あなたは今ごろ山道を越えて行くのでしょうか。



*柞(ははそ)は、コナラ、クヌギミズナラなどブナ科の落葉喬木。 


 
石田の杜(いはたのもり)は、京都市伏見区石田(いしだ)にある天穂日命神社(あめのほひのみことじんじゃ)の森で、古代より、大和から奈良山を越え宇治川を渡り、山科から逢坂山を越えて近江へと続く街道沿いに在り、この道をゆく旅人が道中の安全を祈った場所と伝えられています。


←万葉歌碑



また一年前の古い思い出 (^_^;)
この度は、昨年投稿した大田ノ沢のかきつばたを見に行った日の午後のお話です。


カキツバタ鑑賞後、南禅寺のお豆腐屋さんで昼食をとりながら、さて、これから何処を観ようかと路線図を眺めていて
ふと地下鉄東西線の『石田』という駅名が目にとまりました。かねがね万葉集に歌われた『石田の杜』を訪ねてみたいと思っていたのですが、いわゆる観光地ではなく、分かり難くそうな場所という印象があって中々足が向きませんでした。でもでも、ここ南禅寺からなら蹴上で地下鉄に乗って何とかなるんじゃない? 地理も解らないのに取り敢えず電車に乗り石田(いしだ)駅で降りて見回すと、改札の前に案内図があって、天穂日命神社は駅のすぐ近くなのでした。
車が行き交う広い道路脇の『石田の杜(いわたのもり)』と書かれた標識の奥にある小さな森が目的地。コンクリート色の旅情の湧かない町の中にポツンと残るささやかな境内ですが、歌碑や祠、苗塚などが散在し此処だけは森閑として歴史の面影は感じられます。数十年前、この辺りは田んぼが広がっていたそうですから、その頃は、如何にも鎮守の森といった風情の佇まいだったのでしょう。


 

 


天穂日命神社拝殿 本殿は覆屋の中にあって見ることができません。




    *        




インクラインを通って蹴上駅


天穂日命神社にお参りしてから、未訪の伏見の酒蔵の町を回ろうとタクシーを拾い、御香宮神社で降りてチョコット散歩♪
既に日暮れ時でしたから、資料館は閉館で見学できませんでしたが、川沿いの緑の風情が中々の散歩道でした。
以下、その折の思い出スナップです。


御香宮神社。立派な能舞台がありました。


寺田屋
 
 


♪かっぱっぱ〜 るんぱっぱ〜♪
 


月桂冠大倉記念館


十石船




朝方、今年初のホトトギスの鳴く声を聞きました。