山吹




山吹の 花の盛りに かくの如 君を見まくは 千年にもがも


  萬葉集 巻20−4304 大伴家持



山吹の花の盛りに、このように貴方にお目にかかることが千年も続きますように。


 左大臣橘卿(橘諸兄)の宴の折りに、家持さんが詠んだ歌だそうです。





移り気な4月の空も、今日はどうやら一日お天気持ちそう、という日に散歩に出ました。
家を出る時は、近所の公園でもひと回りしてから買い物を済ませて帰るつもりでしたが、歩いているうちに近頃の天候さながら気が変わり鎌倉の大町方面の散策に予定変更。
大功寺のお庭を通り抜けさせて頂いて、妙本寺の手前の小路から大町の大通りに出て安国論寺へ。
この前ここに来たのはいつだったか、思い出せないくらい久しぶりの松葉ガ谷は瑞々しい新緑に包まれて訪う人もちらほらと静寂な佇まいでした。
私の記憶では、安国論寺には大きな海棠の木があって、春になると花の下で野点など催され、それは艶やかで、普段は慎ましやかな境内が華やいだ空気に包まれたものですが、この度訪ねると、あの海棠の木が無い。枯れてしまったのか、私の記憶違いなのか。
小さな海棠が植えられていて、ちょうど見頃でした。
そして鮮やかな源平枝垂れの桃の花が盛りを迎えておりました。
一枚目の山吹は安国論寺のお庭で、二枚目は釈迦堂カ谷の細い流れの辺に咲いていた花です。



安国論寺


源平枝垂れ桃




山吹 釈迦堂カ谷で




松葉カ谷から釈迦堂カ谷へ向かい、釈迦堂口切通しの今の姿を見て来ました。
ここは以前から落石が多く、車両は通行禁止、人は自己責任で、と暗黙の了解のもと通れましたが、東日本大震災や豪雨の影響で落石の危険が高じたため、通行止めの柵が設置されました。
設置直後に行った時は柵は一つだったような気がしますが、今は二重になって、その二つとも何故か金網が破れています。
手前の柵の破れ目を潜って、奥の柵の網目から切通しを写してみました。
岩は脆く天井部分には多くの亀裂があるように見えます。
奥の柵も破れているので、その気になれば切通しに入れますが、自己責任も覚束ない年寄りは自重しなければ。
それにしてもこの柵、どうしてこんなに壊れてしまったのでしょう。
切通しを抜けた向こうには小規模な梅畑があったけれど、今はどうなっているのかな。
今度は反対側から行って見てみようと思ったのでした。





釈迦堂口切通



谷戸の風景。北条時政邸跡辺りの春模様。ガビチョウが美しい声で鳴いていました。