ほとけ




大神(おおみわ)朝臣奥守(おきもり)の報(こた)へ嗤う歌一首


佛造(ほとけつく)る 真朱(まそほ)足らずは 水たまる 池田の朝臣(あそ)が 鼻の上を掘れ


 万葉集 巻16−3841



仏を造る朱(ソホ=水銀)が足りないのなら、池田朝臣の赤い鼻の上を掘りなさい。



真朱(まそほ)のマは美称。ソホは硫化水銀のことで、金に混ぜて青銅の仏像の鍍金に用いた。

 この歌に詠まれた『佛』とは、東大寺の大仏のことだそうです。



この歌は、ひとつ前の歌と繋がっていて

池田朝臣の、大神朝臣奥守を嗤う歌一首

寺寺の 女餓鬼申さく 大神の 男餓鬼賜りて その子生まはむ
 万葉集 巻16−3840


寺々の女餓鬼たちが申すことには、大神の男餓鬼を夫にして、子供を生みたいそうです。


と、池田朝臣にからかわれたので、奥守さんが負けずにやり返した歌です。悪口合戦ですね。



池田朝臣は鼻ぺちゃの赤鼻。
大神奥守は痩せて鬼瓦のような顔立ちだったのでしょうか?
お互いの容貌のけなし合い、今のお笑い芸人も同じようなことTVでやってますね。


左は大仏殿の中門にある邪鬼足外香炉です。
餓鬼ではなく邪鬼。太っていて逞しく、お相撲さんみたい。








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おほらかに もろてのゆびを ひらかせて おほきほとけは あまたらしたり

 会津八一 『南京新唱』



奈良の大仏さんと言えば先ず思いうかぶ好きな歌ですが、この歌碑が東大寺境内にあることを知りませんでした。中門手前の左側に建っていますが、余りに大きいので、今まで歌碑とは気づかず通り過ぎていたのかも。



会津八一歌碑 ↓





ところで、大仏さまの両脇にある大きな花瓶に蝶がとまっているのご存知ですか?
去年五月、久々に大仏殿に入って、私は初めて気が付きました。
揚羽蝶のようですが、足が八本ありますよ。何でだろ?   →










ついでに南大門の仁王さんの足をご覧ください(*^。^*)
阿形の足                              
 

吽形の足


とりとめもなく、今日は奈良の大仏さまのお話でした。
 


金銅八角燈籠火袋羽目板音声菩薩 コラージュ


県庁の屋上から東大寺を見る  2012年5月18日