三枝・さきくさ (三椏・ミツマタ)



春されば まづ三枝(さきくさ)の 幸(さき)くあらば 後にも逢はむ な恋ひそ吾妹(わぎも)


                  柿本人麻呂歌集  巻10 1895



春が来ると先ず咲く三枝の花のように、幸せ(無事)であればいつかきっと逢えるでしょう。
恋い焦がれて苦しまないで、いとしい人よ。


まづ三枝(さきくさ)は「まず咲き」と「幸(さき)くあれば」にかかる掛詞です。


この歌は以前一度使いましたが、写真を新しいものに代えての再投稿です。
万葉集に三枝(さきくさ)を詠んだ歌は二首あって、そのうちの一首は長歌で、読むと悲しくなる内容なので・・・


三枝(さきくさ)には最有力説のミツマタの他に、沈丁花ヤマゴボウ・山百合ほか諸説あるそうです。



今年もミツマタの花が咲く季節になりました。
ミツマタは鎌倉の寺社のあちらこちらにありますが、『さて、何処にしようかな。なのなの神さまの言うとおり』と、大功寺、荏柄天神社、長谷寺へ観に行ってきました。
荏柄天神社の花は大ぶりで、くす玉のようにぽってりと重たそうに咲いていました。園芸種でしょうか。
大功寺と長谷寺のは控えめで清楚な雰囲気の、よく目にする普通のミツマタです。
長谷寺には赤花三椏の株もありました。
これも園芸種だそうですが、鮮やかで美しい紅色です。


ミツマタは中国原産のジンチョウゲ科の落葉低木。
枝が三本に分かれるのでミツマタ(三叉・三椏)と名付けられました。
樹皮は和紙の原料となります。


荏柄天神社


荏柄天神社


荏柄天神社


大功寺


大功寺


長谷寺


長谷寺


長谷寺