陸奥(みちのく)の
安太多良真弓(あだたらまゆみ) 弦(つら)着(は)けて 引かばか人の 吾(わ)を言(こと)なさむ
万葉集 巻7−1329
陸奥の安達太良山の真弓に弦(つる)を着けて引くように
相手の気を引くようなことをすれば
世間の人が私のことをあれこれとうるさく言うことでしょう
*「弓を引く」に「気を引く」をかけています。
昔、マユミは弓を作る材料でした。
安達太良山一帯には、古来、マユミの木が多く自生していて、このマユミで作った弓は『安達太良真弓』とよばれ、遠く都にまで知られていたそうです。
今でもマユミが自生しているのかな?と、今月初め、福島県の安達太良山麓にある岳温泉に行った折に温泉場近くを歩いてみましたら、小さな牧場が点在する農道の傍らですぐ見つかりました。
赤い実は小鳥が啄ばんでしまったのか殆んど空っぽでしたが・・・
安達太良山(標高1699.6m)はその山の形から『乳首山』とも呼ばれ、『ほんとの空』があるという高村光太郎の『智恵子抄』でお馴染みの山です。
暖冬の今年は山には未だ雪が無く、紅葉が少し残っていました。
白まゆみ
この木は『奥州安達が原の鬼婆伝説』ゆかりの、真弓山観世寺(二本松市)の庭にありました。白いのは初めて目にしました。
こちらは 以前写した三浦半島に自生するマユミの花と実です
帰る日、安達が原から見た安達太良山。うっすら冠雪していました。
年の瀬も押し迫ってまいりましたので 今年はこの辺でお仕舞いにいたします。
この一年も拙ブログにお付き合い下さいまして ありがとうございました。
みなさまお健やかに 新年をお迎えくださいませ。