あな醜(みにく) 賢(さか)しらをすと 酒飲まぬ 
                人をよく見れば 猿にかも似る


                       大伴旅人 万葉集 巻3−344



ああみっともない。賢そうにして酒を飲まない人をよくよく見ると、猿に似ているよ




この歌は、「太宰師大伴卿、酒を讃(ほ)むる歌十三首」の中の一首で、他にも『なかなかに 人とあらずは 酒壷に 成りにてしかも 酒に染みなむ(酒壷になって、お酒にどっぷり浸かりたかった)巻3−343』などと云う歌も詠んでいますから、旅人さんは余程お酒好きな方だったようです。
今までに写した猿の写真を集めてつくづくと眺めますと、確かに「賢しら」な顔に見えなくもありません。何故かしらん? 猿は怒りの表情は見せますが、笑いません。ちょっと澄ましたようなところが、利口ぶっているように感じられるのかもしれません。



これは浅草の浅草寺で営業中の猿まわし。このお猿さん、何故か歯をむいて怒っています。     


こちらは浅草神社境内で               



下の二枚の写真は野生のお母さん猿で、深い眼差しをしていますが、小猿を抱いて、カメラを向ける私を警戒しています。木に摑まる手つきがどことなく女性らしいです。群馬県四万温泉の奥四万湖畔で写しました



旅人さんは、濁り酒を召し上がっていたようです。こんなイメージでしょうか。